先物(指数・商品)
将来の決まった期日(限月)に決まった価格で売買する“約束”を、証拠金にレバレッジをかけて取引するデリバティブ。株価指数・商品・金利を、買いも売りも対等に動かせます。株と違い『限月(満期)』『日々の値洗いと追証』があり、ヘッジにも投機にも使える“もう1つの土俵”。資金管理と限月の規律が生命線です。
- 保有時間
- 数分〜数週間(手法次第)
- 取引回数
- スキャル〜スイングで可変
- 狙う値幅
- 値幅 × 取引単位(倍率)
- 判断材料
- マクロ・金利・需給・限月(ロール)・テクニカル
- 心理的負荷
- 中〜高(レバレッジと限月管理)
この手法を回す手順
上から順に。各ステップをタップすると、その詳細セクションへ移動します。迷ったら、この順序に戻ってきてください。
- 01
限月と銘柄を選ぶ
株価指数・商品・金利の中から流動性の高い“期近”を選ぶ。SQ(限月交代)や受渡条件、取引時間(日中/夜間)を確認する。
詳しく見る → - 02
地合い(マクロ・需給)を確認
金融政策・金利・在庫統計・リスクオン/オフで大局の方向観を決める。指数なら現物市場の地合いと連動させる。
詳しく見る → - 03
戦略を選ぶ
トレンドか・レンジか・限月間スプレッドか。相場環境に合った型を1つに絞り、エントリー条件を定義する。
詳しく見る → - 04
材料と時間を読む
経済指標・在庫統計・SQ・限月交代で、『いつ動くか・いつ避けるか』を決める。ベーシス(現物との差)も確認する。
詳しく見る → - 05
証拠金から数量を逆算
損切り幅×倍率×枚数が口座リスク2%以下に収まる枚数を計算。追証(マージンコール)に余裕のある証拠金で執行する。
詳しく見る → - 06
執行前チェック
共通の4領域に加え、実効レバレッジ・追証・限月ロール・SQ・夜間ギャップの固有項目を最終確認する。
詳しく見る →
先物 ── “将来の約束”を売買し、指数・商品を一括で動かす
先物は『将来の決まった期日(限月)に、決まった価格で売買する約束』を取引します。証拠金にレバレッジをかけ、指数・商品・金利を、買いも売りも対等に売買。株と違い“満期(限月)”と“日々の値洗い・追証”があるのが最大の特徴です。まずは基礎概念と主要商品、そして先物固有の着眼点を押さえます。
先物取引は『将来の決まった期日(限月)に、決まった価格で原資産を売買する“約束”』を売買する取引です。株価指数(日経225・S&P500など)・商品(原油・金)・債券などを対象に、証拠金を担保にレバレッジをかけて売買します。株の現物と決定的に違うのは、(1)限月という“満期”があり期日が来ればロール(乗り換え)か決済が必要、(2)毎日の損益が日々確定する『値洗い(マーク・トゥ・マーケット)』で、損が膨らむと『追証(マージンコール)』が発生、(3)買いと売りが完全に対等で、ヘッジにも投機にも使える点。レバレッジ効率が高く流動性も厚い反面、追証と限月管理を怠ると一気に退場します。資金管理と限月の規律が生命線の、デリバティブの王道です。
まず押さえる基礎概念
限月・証拠金・倍率・値洗い/追証・ロール限月(げんげつ)と満期
意味:取引が満了する期限。3月・6月・9月・12月など複数の限月があり、最も取引が活発な“期近”を中心に売買する。
ポイント:株の現物と違い“満期”がある。期日が来ると決済 or 次の限月へ乗り換え(ロール)が必要。限月の管理が先物特有の必須スキル。
証拠金とレバレッジ
意味:取引額の一部(証拠金)を担保に、何倍もの想定元本を売買する。必要証拠金はSPAN等でリスクに応じて変動する。
ポイント:少額で大きなポジションを動かせる効率の良さが魅力かつ罠。実効レバレッジ(想定元本÷口座)を低く保つことが生存条件。
取引単位(倍率)
意味:1枚が原資産いくら分かを示す乗数。例: 日経225 miniは指数×100、ラージは×1000。1pt動くと倍率分の損益。
ポイント:損益額は『値幅 × 倍率 × 枚数』で決まる。倍率を理解せずに枚数を決めると、想定の何倍もリスクを取ってしまう。
値洗いと追証
意味:建玉の損益を毎日清算する仕組みが値洗い。含み損で証拠金が維持水準を割ると追証(追加入金)や強制決済になる。
ポイント:オプション買いのような“払ったら終わり”ではなく、損が膨らむと日々現金が必要になる。塩漬けが資金ショートに直結する。
ロールオーバー
意味:限月の期日が近づいたら、期近を決済し期先へ建て直して保有を継続すること。SQ前に行うのが一般的。
ポイント:中長期で持つなら必須の作業。ロールにはコスト(期近・期先の価格差)がかかり、これが地味に損益を削る。
ベーシス(現物との差)
意味:先物価格と現物価格の差。金利・配当・保管コスト等で生じる。期先が高い順ザヤ(コンタンゴ)/安い逆ザヤ(バックワーデーション)。
ポイント:指数裁定やロールコストの源泉。特に商品先物では、コンタンゴが長期保有の“見えない減価”として効いてくる。
主要な先物商品の分類と性格
株価指数 / 商品 / 金利・債券 ── ドライバが違う日経225先物
性格:日本株全体の代理。ラージ(×1000)・mini(×100)・マイクロ(×10)があり、サイズを選べる。ほぼ24時間(日中+夜間)取引。
着目:個人の主戦場。少額ならmini/マイクロで枚数調整。米国市場・為替(円)と強く連動し、夜間に動くことが多い。
S&P500 / ナスダック
性格:世界の中心指数。E-mini(ES)・マイクロ(MES)があり流動性は世界最大級。ナスダック(NQ)はボラが大きい。
着目:ほぼ24時間取引で、米経済指標・FOMCに直反応。グローバルなリスクオン/オフの“体温計”。
原油・金
性格:原油(WTI)は在庫統計・地政学・OPECで急変。金は実質金利・リスク回避の逃避先。値動きのドライバが株と異なる。
着目:コンタンゴ(順ザヤ)のロールコストに注意。商品は需給と在庫が主役で、株指数と相関が低く分散に効く。
国債先物
性格:長期金利の代理。金融政策・インフレ期待で動く。株と逆相関になりやすく(リスクオフで買われる)、機関のヘッジ需要が厚い。
着目:金利の方向観をそのまま取引できる。価格は金利と逆向き(金利上昇→債券先物下落)。マクロ理解が要。
何に気がつくのか
先物特有の着眼点(マクロ・限月・OI・ベーシス・追証)マクロ・金融政策
何を:中央銀行の金利の方向、景気指標、インフレ。指数・債券先物の最大のドライバ。
なぜ効く:先物は個別企業より“市場全体・マクロ”で動く。金利と景気の方向を読めれば、大局のトレンドに乗れる。
期近・期先とロール
何を:最も活発な期近(フロント)と、その先の限月(バック)。SQ・限月交代の時期と、両者の価格差(ロールコスト)。
なぜ効く:流動性は期近に集中。限月交代を見落とすと、薄い限月で不利な約定や強制決済に巻き込まれる。
建玉残高(OI)と出来高
何を:未決済の建玉総数(OI)と出来高。増減で資金の流入/手仕舞いを測る。
なぜ効く:価格上昇+OI増=新規の買いがトレンドを支える。価格は動くがOIが減る=手仕舞い主導で続きにくい、と読む。
ベーシス・順ザヤ/逆ザヤ
何を:先物と現物の価格差、限月間の価格差。順ザヤ(コンタンゴ)か逆ザヤ(バックワーデーション)か。
なぜ効く:指数裁定やロールコストの源泉。特に商品では、コンタンゴの強さが長期保有の減価度合いを左右する。
値洗い・追証ライン
何を:日々の値洗いで自分の証拠金維持率がどこにあるか。あと何ポイントの逆行で追証/強制決済か。
なぜ効く:先物は“持っているだけ”で日々現金が動く。追証ラインを把握しないと、耐えるべき揺れで強制退場させられる。
SQ・限月交代と需給
何を:SQ(特別清算指数)算出日に向けた建玉の偏り、限月交代前後の流動性とロールの動き。
なぜ効く:SQ前後は需給が歪み、普段と違う値動きが出やすい。日程を把握して“いつ避け、いつ乗るか”を決める。
固有の優位性と、はまりやすい罠
流動性・ヘッジ・効率 ↔ 追証・限月ロール・SQ/夜間ギャップ厚い板を、日中も夜間も売買できる
主要な指数先物は世界最大級の流動性で、日中+夜間でほぼ一日中取引できる。米国市場の動きにその場で反応でき、大口でも滑りにくい。個人でもサイズ(mini/マイクロ)を選べる。
指数を一括で、売りからも入れる
1枚で指数全体を売買できるため、保有現物株の下落ヘッジに使える。買いと完全に対等な手軽さで売りから入れ、下落局面でも素直に利益を狙える。投機にも保険にも使える万能性。
少額の証拠金で大きく動かせる
現物を全額用意せず、証拠金だけで想定元本の何倍も動かせる資本効率の高さ。手数料も相対的に低く、税制(申告分離)も明快。マクロの方向観をダイレクトに取引できる。
値洗いで日々現金が必要、追証で退場
含み損は日々の値洗いで現金化され、証拠金維持率を割ると追証や強制決済になる。高レバのまま逆行すると、耐えるはずの揺れで資金ショート。実効レバを低く保たないと一発退場する。
満期があり、ロールがコストになる
限月ごとに満期が来るため、中長期保有はロール(乗り換え)が必須。順ザヤ(コンタンゴ)の商品では、ロールのたびに“見えない減価”が積み上がる。限月管理を怠ると薄い板で不利約定。
SQの歪みと、時間外の窓
SQ前後は需給が歪み普段と違う動きが出る。夜間・時間外や海外イベントで、寄りが大きく窓を空けて損切りを飛び越えることもある。指数連動ゆえ“全部一斉に動く”相関リスクも負う。
王道の先物戦略 ── 価格レベルで“入る・切る・伸ばす”を掴む
相場環境(トレンド/レンジ/スプレッド・ヘッジ)に応じて型を選びます。各戦略の地合いと、エントリー・損切り・利確の価格レベルを図で確認し、損益分岐・RR・いつ使うかまで分解します。
トレンドフォロー(指数・順張り)
上昇トレンド(高値・安値の切り上げ+移動平均が上向き)の指数先物に素直に乗り、押し目や小ブレイクで買い続ける。
いつ使う:金融政策・景気の方向がはっきりし、指数にトレンドが出ている時。
なぜ指数先物のトレンドはマクロ要因で長く続く。『順張りで乗り、逆行で降りる』が最も再現性が高い。天底当ては介入・指標リスクで分が悪い。
押し目買い(プルバック)
上昇トレンド中の一時的な下げを、移動平均やフィボ・前回高値(サポート転換)で買う。
いつ使う:明確な上昇トレンドがあり、高値掴みを避けて有利な価格で乗りたい時。
なぜトレンド方向への押し目は損切りが近く損小利大を作りやすい。乗り遅れても再エントリーできる王道。
戻り売り(下降トレンド)
下降トレンド中の一時的な戻りを、移動平均や前回安値(レジスタンス転換)で売る。押し目買いの裏返し。
いつ使う:金融引き締め・リスクオフで、指数に明確な下降トレンドが出ている時。
なぜ先物は売りも買いと対等。下落局面では戻り売りが順張りになる。リスクオフは速く深いため取りやすい。
レンジ(逆張り)
明確なレンジ(サポートとレジスタンスの往復)で、下限買い・上限売りの逆張りを繰り返す。
いつ使う:重要イベント(FOMC・SQ)の谷間で、方向感がなく一定幅で往復している時。
なぜトレンドが出ていない時間の往復は確率が高い。ただし『ブレイクで即損切り』が絶対条件。指標前は手仕舞う。
ブレイクアウト(寄り・指標)
レンジや重要節目(前日高安・キリ番)を、寄り付きや指標を契機に勢いを伴って抜けた方向に乗る。
いつ使う:レンジで値幅が収縮し、寄り付きや指標発表でエネルギーが放出されそうな時。
なぜ溜まった損切り・新規注文が一気に約定し初動が伸びやすい。ダマシ回避にリテストと出来高(OI増)を併用する。
ヘッジ/カレンダースプレッド
保有現物の下落保険として指数先物を売る(ヘッジ)、または期近売り・期先買い等の限月間スプレッドで方向リスクを抑えて値差を取る。
いつ使う:急落イベントに備えたい時、現物を売らずに一時的にリスクを落としたい時。
なぜ先物は“売り”で指数全体を即ヘッジできるのが最大の利点。スプレッドは方向を当てずに需給の歪みを取る上級者向けの型。
価格レベル図はイメージです(実際の値動き・値幅は商品と限月で変わります)。どの戦略でも、エントリーと同時に逆指値(損切り)を置き、損切り幅×倍率から枚数を逆算し、追証余力を確かめてから入るのが大前提です。
材料から読む ── マクロ・在庫・地政学を戦略に変える
先物を動かす材料(金融政策・経済指標・在庫統計・地政学・SQ)は、『方向・需給(ベーシス)・時間(限月/イベント)』のどれにどう効くかで、選ぶべき戦略が決まります。まず材料の“型”を一覧で押さえ、代表的な3つを具体例で深掘りします。
材料 → 値動き・方向・戦略の早見表
その材料が何に効くかで戦略が決まる| 材料 | 値動き・ボラへの影響 | 方向の出方 | 候補戦略 | 典型的な罠 |
|---|---|---|---|---|
中央銀行・金利 Central Bank | 発表前後でボラ最大級、指数・債券が急変 | 利上げ/タカ派=指数や債券先物に下押し圧力 | 声明前は様子見→方向確定後にトレンドフォロー | “予想通り”でも声明トーンで急反転。指数は一斉に動く |
雇用統計・CPI Jobs / CPI | 発表直後に瞬間的な大変動 | 強い経済/高インフレ=利上げ観測で指数は下げやすい | 発表をまたがず、出た方向の初動 or 落ち着き後に | 発表の瞬間はスプレッド拡大+往復(ストップ狩り) |
在庫統計(商品) Inventory | 原油などで在庫の増減に大きく反応 | 在庫減=需給逼迫で上昇、在庫増=下落に傾く | 発表後の方向に順張り/コンタンゴを踏まえた管理 | 予想との差が肝。実数より“サプライズ”の有無で動く |
地政学・リスクイベント Geopolitics | 急騰(ボラスパイク)、夜間に窓 | リスクオフ=株指数売り・金/債券買い | 指数の戻り売り/金・債券先物でリスク回避 | ヘッドラインで乱高下。夜間・時間外の窓に注意 |
SQ・限月交代 SQ / Expiry | 需給が歪み、普段と違う値動き | 建玉の偏りで一時的な“引き寄せ/振り回し”が出る | SQ週は数量を抑える/ロールは余裕を持って | 限月交代を見落とし、薄い限月で不利約定・強制決済 |
要人発言・海外市場 Officials / Overseas | 時間外でも突発的にボラ上昇 | 米市場・為替の方向に日本の指数先物が連動 | 夜間の海外の流れを翌日日中に引き継ぐ順張り | 夜間の薄商いでの急変。ポジション過大での持ち越しは危険 |
代表シナリオを深掘り(3本)
状況 → 方向/需給(ベーシス)/時間(限月)の読み → 戦略選択 → 管理状況:中央銀行がタカ派姿勢を強め、金利上昇観測で株価指数が高値から崩れ始めた。指数先物は戻りを売られながら下降トレンドを形成中。
弱気(金利上昇でバリュエーション圧縮の流れ)
新規の売り(OI増)が下落を主導、戻りは限定的
数日〜数週間。リスクオフは速く深い
- 戻り売り(順張り)下降トレンドでは戻り売りが順張り。移動平均/前回安値の抵抗転換で頭打ちを確認して売ると損切りが近い。
- 押し目買い・逆張り(非推奨)金利上昇という明確な逆風に逆らう逆張りは、ナイフ掴み。底打ちの確認まで手を出さない。
戻りが20/50期間移動平均で頭打ちになった所を売り。損切りは抵抗の上。値洗い・追証ラインを確認し、枚数は実効レバ低めで。
リスクオフは急反発も激しい。一部利確を早めに。FOMC・指標をまたぐ時は数量を落とすか手仕舞う。
指数先物の最大のトレンドは金融政策の方向から生まれる。逆らわず、流れに沿って戻りを売るのが基本。
状況:地政学リスクで供給不安が高まり、在庫統計も予想以上の減少。原油先物が需給逼迫を織り込んで急騰し、強い上昇トレンドが出ている。
強気(供給不安+在庫減で需給逼迫)
逆ザヤ(バックワーデーション)気味で期近が強い
イベント主導で数日〜。急変・反転も速い
- 押し目買い(順張り)需給逼迫のトレンドに沿った押し目買い。逆ザヤ局面はロールも不利になりにくく、順張りが噛み合う。
- 高値での逆張り売り(非推奨)供給ショックの最中の天井当ては危険。地政学はヘッドラインで一段高もあり、根拠なき逆張りは禁物。
押しが支持帯で止まった所を買い、損切りは押し安値の下。商品は急反転が速いので利確は機動的に、一部はトレールで伸ばす。
在庫統計・要人発言をまたぐ数量は絞る。地政学の“解消”で急落することがあるため、利が乗ったら建値ストップへ。
商品先物は株指数と別ドライバ(需給・在庫・地政学)で動く。相関が低く、ポートフォリオの分散にも効く。
状況:保有している米国株の現物ポートフォリオがある中で、地政学と決算不安が重なり市場が急落モードに。週末をまたぐイベントも控えている。
弱気〜不透明(短期の下落リスクが高い)
売りヘッジ需要が膨らみ、先物に下押し圧力
イベント通過までの短期。週末の窓リスク大
- 指数先物の売りヘッジ現物を売らずに、指数先物の売りでポートフォリオの下落リスクを一時的に相殺。税・コストを抑えて機動的に守れる。
- 現物を全部投げ売り(非推奨)狼狽して現物を投げると、反発時に乗れず往復で損する。ヘッジで“時間を買い”冷静に判断するのが上策。
保有現物の金額・βに合わせた枚数の指数先物を売る。イベント通過・下落一服を確認したらヘッジを外し、現物はそのまま握る。
ヘッジは“保険”。上昇に転じたらヘッジの含み損は現物の含み益で相殺される、と理解しておく。外すタイミングを事前に決める。
先物の真価は『売りで指数全体を即ヘッジできる』こと。現物を動かさずにリスクだけ一時的に落とせるのが投機にない強み。
注記上記はすべて教育目的の“架空”シナリオです。実際の値動き・証拠金・ベーシスは地合いで大きく変わり、限月交代やSQで需給が一変することもあります。重要なのは『材料を方向・需給(ベーシス)・時間(限月/イベント)に分解し、証拠金と損切りで“最大損失と追証余力を確かめてから”入る』という思考プロセスです。
実例で追う(先物)── 指数の押し目買いを“数字”で
基礎・戦略・運用を1本に統合します。日経225 miniの押し目買いを、口座100万円・リスク2%から枚数を逆算し、ポイント・倍率・証拠金・実効レバ・損益までエントリーから手仕舞いまで数字で追います。
金融緩和的な地合いで上昇トレンドの日経225を、移動平均への押し目で買う1本。口座100万円・リスク2%(2万円)から枚数を逆算し、エントリーから決済まで ポイント・倍率・証拠金・実効レバ・損益をすべて数字で追う。先物の肝である『損切りと倍率から枚数を決め、追証余力を確かめる』流れを体感する。
- Day 0 / 環境認識気づき
上昇トレンド+押し目を確認
何に気づいた日米とも緩和的で指数は上昇トレンド。日経225は日足で20日移動平均(38,000pt付近)へ押してきた。直近の押し安値は37,800pt。
なぜそう考えたトレンド方向=買い。移動平均が支持として効きやすい局面。逆張りはしない。mini(指数×100倍)で枚数を調整する。
何をした38,000ptの移動平均への反発を待つ方針。損切り候補を押し安値の下=37,800pt(約-200pt)に設定。
- Day 0 / サイジング判断
損切り幅と倍率から枚数を逆算
何に気づいたエントリー想定38,000、損切り37,800=損切り幅200pt。mini 1枚=指数×100倍 → 200pt×100=20,000円/枚。
なぜそう考えた先物は『当てる』前に『1枚いくら損するか』を確定させる。口座100万円のリスク2%=2万円を上限に枚数を決める。
何をした2万円 ÷ 20,000円/枚 = 1枚。想定元本=38,000×100=380万円、実効レバ=380万÷100万=約3.8倍。必要証拠金≒12万円で追証に十分な余力。
- Day 1 / 執行実行
押し目反発で買い、逆指値を即セット
何に気づいた38,000ptの移動平均で下ヒゲ+陽線。反発を確認し買いシグナル点灯。
なぜそう考えた計画した価格・条件が揃った。考える場面ではなく実行する場面。損切りは“入った瞬間”に置く。
何をした38,010ptで1枚を買い。逆指値を37,800ptにセット(最大損失≒2.1万円)。利確目標は+600pt(38,600、RR1:3)。
- Day 2–4 / 管理管理
値洗いを確認しつつ建値へ、半分利確
何に気づいた38,300ptへ上昇(+290pt)。押しは20日線の上で浅く、トレンド継続。日々の値洗いで証拠金は積み上がる。
なぜそう考えたまず“負けないポジション”にする。利は伸ばす。複数枚なら分割利確だが今回は1枚なのでトレールで伸ばす。
何をした逆指値を建値38,010ptへ移動(最悪でも損失ゼロ)。トレンドが崩れるまで握り、移動平均の下に逆指値を追従。
- Day 5 / 決済決済
目標到達+勢い失速で利確
何に気づいた38,600ptの節目で上ヒゲ+失速。上値が重くなった。SQ週も近い。
なぜそう考えた目標の+600ptに到達し勢いも切れた。SQの需給の歪みを避ける意味でも、欲張らず確定する。
何をした38,590ptで決済。損益=(+580pt)×100倍×1枚=約5.8万円(≒+2.9R)。証拠金に対する効率の高さを実感。
- Day 5 / 振り返り振り返り
ジャーナルに記録
何に気づいた損切りと倍率から枚数を決め、追証余力・建値移動・トレールまで計画通り。実効レバも低く保てた。
なぜそう考えた結果(勝ち)ではなくプロセスを採点。ルール遵守◎。改善は『複数枚で分割利確も試す』『SQ週は新規を控える』。
何をした銘柄・限月・根拠・pt・枚数・倍率・実効レバ・損益(R)・感情を記録。『緩和地合い+押し目』を勝ちパターンとして分類。
運用 ── 出口とリスク管理で“使える”に変える
エントリーは始まりにすぎません。先物は高レバレッジ・値洗い・限月・追証があるぶん、『いつ降りるか』と『どれだけ張るか』が損益を決めます。利確/トレール/ロールのルールと、損切り×倍率から枚数を逆算する固有のサイジングを固めます。
トレード管理 ── いつ・どう手仕舞うか
損切り必須 / トレール / 分割利確 / 建値 / 限月ロール / 追証損切りを必ず置く
やること:エントリーと同時に逆指値(損切り)を入れる。例外なく、入った瞬間に。
なぜ:高レバ+値洗いの先物では塩漬けが追証・資金ショートに直結する。損切りは判断でなく事前の約束の自動執行にする。
トレーリングストップ
やること:含み益が伸びたら、損切りを利益方向へ追従させる(移動平均・直近安値の下など)。
なぜ:指数のトレンドの大波を伸ばしつつ利益を守る。握力を保つ仕組みが収益を決める。
分割利確
やること:複数枚なら目標手前で一部利確し、残りをトレールで伸ばす。
なぜ:『利確が早すぎる/遅すぎる』の両方を緩和。確実な利益を確保しつつトレンド継続の上澄みも取りにいける。
建値ストップ
やること:一定の含み益が出たら、損切りを建値(エントリー価格)へ移動する。
なぜ:『最悪でも損失ゼロ』にしてから利を伸ばす。心理的な余裕が早すぎる利確を防ぐ。
限月ロールの管理
やること:中長期で持つならSQ前に期近を決済し期先へ乗り換える。ロールコスト(価格差)を見込む。
なぜ:限月を放置すると薄い板での不利約定や強制決済になる。ロールは余裕を持って、コストを織り込んで行う。
値洗い・追証の管理
やること:日々の値洗いで証拠金維持率を確認し、追証ラインから距離を取る。SQ・イベント前は数量を落とす。
なぜ:先物は持つだけで日々現金が動く。追証ラインを把握しないと、耐えるべき揺れで強制決済される。
リスク管理とサイジング
損切り×倍率から枚数を逆算し、追証余力を残す損切り幅×倍率で枚数を逆算
やること:1トレードの損失(損切りpt × 倍率 × 枚数)が、口座の1〜2%に収まる枚数だけ建てる。
なぜ:先物の生死は枚数で決まる。先に最大損失を固定し、倍率を踏まえて枚数を逆算するのが資金管理の核心。
実効レバレッジを抑える
やること:想定元本(価格×倍率×枚数)÷口座資金で実効レバを把握し、低め(目安2〜5倍程度)に保つ。
なぜ:証拠金ギリギリまで建てると数%の逆行で追証・退場。実効レバを抑えることが連敗しても生き残る最大の防御。
追証余力を常に残す
やること:必要証拠金いっぱいで建てない。値洗いの逆行に耐える余裕資金を残し、強制決済ラインから距離を取る。
なぜ:維持率が薄いと一時的な逆行(ノイズ)で強制ロスカット。耐えるべき揺れで退場しない設計にする。
相関・指数偏りに注意
やること:複数の指数先物や、指数先物+現物株が同方向に偏っていないか確認する。
なぜ:指数は“全部一斉に動く”。同方向に偏ると実質1つの大きな賭けになり、急落で想定の倍やられる。
SQ・限月・イベントを避ける
やること:SQ週・限月交代・重要指標・中銀会合をまたぐ時は、数量を減らすか手仕舞う。
なぜ:これらの局面は需給が歪み、スプレッド拡大・スリッページで損切りが機能しにくい。大きく張ってまたぐのは危険。
夜間・窓・持ち越し
やること:夜間・時間外や週末をまたぐ持ち越しは数量を軽く。海外市場の急変で寄りが窓を空ける前提で。
なぜ:時間外の薄商いや海外イベントで損切りを飛び越える窓が出る。管理できないリスクはサイズを落として向き合う。
先物執行前の“上乗せ”チェック
共通の執行前チェックに加えて確認する固有項目- ☐限月は流動性の高い“期近”か、SQ・限月交代の日程を把握したか
- ☐大局の方向観(金融政策・金利・需給・リスクオン/オフ)を明文化したか
- ☐相場環境(トレンド/レンジ/スプレッド・ヘッジ)に合った戦略を1つに絞ったか
- ☐エントリー・損切り・利確をポイントで定義し、RRは1:2以上か
- ☐損切りpt × 倍率 × 枚数 が、口座リスク(1〜2%)に収まっているか
- ☐実効レバレッジ(想定元本÷口座)は低め(目安2〜5倍)で、追証余力は十分か
- ☐またぐ予定のSQ・限月交代・重要指標・中銀会合はないか(あれば数量調整/回避)
- ☐夜間・時間外・週末の窓リスクを踏まえ、持ち越し枚数は適切か
執行前チェックリスト ── 引き金を引く前に
毎トレード、引き金を引く前に回す確認です。クリックでチェックし、全項目が埋まって初めて“執行可能”。1つでも欠ければ、その回は見送ります。(チェック状態はこのブラウザに保存されます)