FX(為替証拠金)
2国の通貨を交換し、為替レートの変動とスワップ(金利差)で損益を得る証拠金取引。平日24時間・双方向・高流動性で、値動きのドライバは金融政策や金利差といったマクロ。最大の魅力である高レバレッジが最大の罠でもあり、“資金管理の技術”がそのまま生死を分けます。株とは別ドライバの“もう1つの土俵”です。
- 保有時間
- 数秒〜数ヶ月(手法次第)
- 取引回数
- スキャル〜スイングで可変
- 狙う値幅
- 数pips〜数百pips + スワップ
- 判断材料
- 金利差・経済指標・通貨の相対力・テクニカル
- 心理的負荷
- 中〜高(レバレッジと24時間)
この手法を回す手順
上から順に。各ステップをタップすると、その詳細セクションへ移動します。迷ったら、この順序に戻ってきてください。
- 01
通貨ペアと時間軸を選ぶ
メジャー通貨ペア(USD/JPY等)から、流動性とボラ・自分の生活リズム(セッション)に合う1〜2本に絞る。
詳しく見る → - 02
地合い(金利・リスク)を確認
二国間の金融政策の方向と金利差、リスクオン/オフ、ドルの強弱(DXY)で大局の方向観を決める。
詳しく見る → - 03
戦略を選ぶ
トレンドか・レンジか・キャリーか。相場環境に合った型を1つに絞り、エントリー条件を定義する。
詳しく見る → - 04
材料と時間を読む
経済指標カレンダー・要人発言・セッションの重なりで、『いつ動くか・いつ避けるか』を決める。
詳しく見る → - 05
損切りから数量を逆算
損切りまでのpips × 1pip価値から、1トレードの損失が口座の2%以下に収まるロット数を計算して執行。
詳しく見る → - 06
執行前チェック
共通の4領域に加え、実効レバレッジ・スワップ・指標発表・週末持ち越しの固有項目を最終確認する。
詳しく見る →
FX ── 通貨を交換し、為替変動とスワップで稼ぐ
株が『どの企業が伸びるか』なら、FXは『どちらの国の通貨が相対的に強いか』を当てるゲーム。証拠金にレバレッジをかけ、買いも売りも自在に、平日24時間取引します。まずは基礎概念と通貨ペアの性格、そしてFX固有の着眼点を押さえます。
FX(外国為替証拠金取引)は『2国の通貨を交換し、為替レートの変動とスワップ(金利差)で損益を得る』取引です。証拠金を担保にレバレッジをかけ、保有資金の何倍ものポジションを動かせます。株と決定的に違うのは、(1)平日ほぼ24時間動き、(2)買いだけでなく売りからも等しく入れ、(3)値動きのドライバが個別企業ではなく『二国の金融政策・金利差・国際収支・リスク選好』というマクロである点。最大の魅力である高レバレッジは、裏返せば最大のリスク。だからFXは『当てる技術』より先に『資金管理の技術』を身につけた人だけが生き残れる土俵です。
まず押さえる基礎概念
通貨ペア・pip・ロット・レバレッジ・スワップ通貨ペアと建値
意味:USD/JPY のように2通貨を組で取引する。左が基軸通貨、右が決済通貨。『USD/JPY=150.00』は1ドル=150円の意味。
ポイント:買い=左の通貨を買い右を売る、売り=その逆。『どちらの通貨が相対的に強いか』を当てるゲームだと理解するのが出発点。
pip(ピップス)
意味:為替レートの最小変動単位。対円ペアは0.01=1pip、それ以外(EUR/USD等)は0.0001=1pip。
ポイント:損益・損切り幅・利益目標をすべてpipsで測る。『何pips取って、何pipsで損切るか』が損益比(RR)の物差しになる。
ロットと1pip価値
意味:取引数量の単位。1標準ロット=10万通貨、ミニ=1万通貨。USD/JPYは1万通貨でおよそ1pip=100円。
ポイント:同じ50pipsでも、1万通貨なら5,000円、10万通貨なら5万円。数量(ロット)が損益額を直接決める=サイジングの核心。
レバレッジと証拠金
意味:証拠金を担保に大きな取引を行う仕組み。国内個人は最大25倍。必要証拠金=取引額÷レバレッジ。
ポイント:25倍なら4%の逆行で証拠金が消える計算。レバは利益も損失も等倍で膨らませる。実効レバレッジ(総建玉÷口座)を低く保つことが生存条件。
スプレッドとコスト
意味:買値(ask)と売値(bid)の差。これが実質的な取引コスト。メジャー通貨ほど狭い。
ポイント:エントリーした瞬間にスプレッド分だけマイナススタート。スキャル等の高頻度ほどコストが効く。広がる時間帯(早朝・指標時)は避ける。
スワップ(金利差)
意味:2通貨の金利差から日々発生する受払。高金利通貨を買えば受取、売れば支払いが基本。日をまたぐと付与。
ポイント:方向が横ばいでも、金利差を味方にすればインカムになる(キャリー)。逆に金利差に逆らう向きの長期保有は“持つだけで減る”。
通貨ペアの分類と性格
メジャー / クロス円 / 資源国 ── ペアごとに“クセ”が違うEUR/USD
性格:世界最大の取引量で最もスプレッドが狭い。値動きは比較的素直で、欧州・米国時間に活発。
着目:FXの“基準”。ドル全体の強弱(DXY)とほぼ表裏。最初に触れる王道ペア。
USD/JPY
性格:日米の金利差とリスク選好に敏感。リスクオフで円高(下落)に振れやすい。東京〜NYまで動く。
着目:日本人に馴染み深くニュースも追いやすい。金利差トレンドが長く続きやすく、キャリーの主役。
GBP/USD
性格:ボラティリティが大きく“値が荒い”。値幅は取れるが、損切りに容易にかかる難度の高さ。
着目:慣れないうちは数量を抑える。同じ損切りpipsでも振れ幅が大きく、リスク管理の差が出やすい。
EUR/JPY
性格:米ドルを介さないクロス円の代表。リスクオン/オフに素直に反応し、トレンドが出やすい。
着目:EUR/USDとUSD/JPYの“合成”。両者の方向が揃うと大きく動く。相関の理解が効く。
AUD/USD
性格:資源価格・中国景気・世界のリスク選好の代理変数。相対的に高金利でキャリー対象になりやすい。
着目:コモディティ市況と連動。リスクオンで買われ、オフで売られる“景気敏感通貨”の代表。
何に気がつくのか
FX特有の着眼点(金利・指標・相対力・セッション)金利差・金融政策の方向
何を:二国の政策金利の差と、これからの利上げ/利下げの方向(タカ派/ハト派)。
なぜ効く:FXの最大のドライバ。金利が上がる通貨に資金が向かう。政策の“方向の差”が数ヶ月単位のトレンドを生む。
経済指標サプライズ
何を:雇用統計・CPI(物価)・GDP・PMI等が、事前予想(コンセンサス)とどれだけズレたか。
なぜ効く:為替は『予想との差(サプライズ)』に反応する。良し悪しの絶対値より、織り込み済みかどうかが値動きを決める。
ドルの強弱・相対力
何を:主要通貨に対するドルの総合的な強弱を示すドルインデックス。個別ペアの背景。
なぜ効く:ドル全面高/安の地合いでは、ほとんどのペアが連動する。『ペアの動き=2通貨の綱引き』を俯瞰で確認する軸。
リスクオン / オフ
何を:市場が強気(リスクオン)か逃避(オフ)か。株・債券・VIX・金と連動する。
なぜ効く:リスクオフでは安全通貨(円・スイスフラン・ドル)が買われ、資源国・新興国通貨が売られる。地合い全体の方向を決める。
セッションと流動性
何を:東京→ロンドン→NYと市場が移り、流動性とボラが変わる。ロンドン〜NYの重なり(日本時間夜)が最も活発。
なぜ効く:動く時間に張るのが効率的。早朝はスプレッドが広く動かない。『いつ取引するか』が勝率とコストに直結する。
テクニカルな節目
何を:ラウンドナンバー(150.00等のキリ番)、前日高安、移動平均、トレンドライン。
なぜ効く:参加者が同じ価格を意識するため反発・ブレイクが起きやすい。指値・逆指値(損切り)が溜まり、値が動く起点になる。
固有の優位性と、はまりやすい罠
24時間・流動性・双方向 ↔ 高レバレッジ・週末窓・スワップ平日いつでも、滑らず参加できる
メジャー通貨は世界最大級の流動性。平日24時間動くため、自分の生活リズムに合うセッションを選べる。約定が速く、大口でもスリッページが小さいのが現物株との違い。
売りも自在、コストはスプレッドのみ
貸株料も空売り規制もなく、買いと全く同じ手軽さで売りから入れる。下落局面でも素直に利益を狙える。コストは基本スプレッドのみで、メジャーなら極小。
金利差トレンドは長く続く
値動きのドライバが金融政策・金利差というマクロのため、一度出たトレンドが数週間〜数ヶ月続きやすい。個別株の決算ガチャと違い、大局の方向を読み切れれば乗り続けられる。
高レバは数%の逆行で退場
25倍ならわずか4%の逆行で証拠金が吹き飛ぶ。レバレッジは利益も損失も等倍で膨らませる“両刃”。実効レバレッジ(総建玉÷口座)を低く保たないと、一度の急変で致命傷を負う。
週末ギャップは損切りを飛び越える
週末・祝日は取引できないが、地政学イベントや要人発言で月曜の寄りが大きく窓を空けることがある。設定した損切り価格を飛び越えて約定する“スリッページ”は、24時間市場でも避けられない。
金利の逆風と、発表時の急変
金利差に逆らう向きの長期保有はスワップを払い続け、利益を蝕む。さらに重要指標の発表直後はスプレッドが急拡大し、値が瞬間的に飛ぶ。イベントを意図せずまたぐのは大きなリスク。
王道のFX戦略 ── 価格レベルで“入る・切る・伸ばす”を掴む
相場環境(トレンド/レンジ/キャリー)に応じて型を選びます。各戦略の地合いと、エントリー・損切り・利確の価格レベルを図で確認し、損益分岐・RR・いつ使うかまで分解します。
トレンドフォロー(順張り)
上昇トレンド(高値・安値の切り上げ+移動平均が上向き)に素直に乗り、押し目や小さなブレイクで買い続ける。
いつ使う:金利差・金融政策の方向がはっきりし、トレンドが継続している時。
なぜFXのトレンドはマクロ要因で長く続く。『順張りで乗り、逆行で降りる』が最も再現性の高い基本。逆張りで天底を当てにいかない。
押し目買い(プルバック)
上昇トレンド中の一時的な下げを、移動平均やフィボ(38.2/50/61.8%)・前回高値(サポート転換)で買う。
いつ使う:明確な上昇トレンドがあり、高値掴みを避けて有利な価格で乗りたい時。
なぜトレンド方向への押し目は、損切りまでが近く損小利大を作りやすい。トレンドに乗り遅れても再エントリーできる王道。
戻り売り(下降トレンド)
下降トレンド中の一時的な戻りを、移動平均や前回安値(レジスタンス転換)で売る。押し目買いの裏返し。
いつ使う:金利・地合いが弱気で、明確な下降トレンドが継続している時。
なぜFXは売りも買いと対等。下落トレンドでは戻り売りが順張りになる。安全通貨買い(リスクオフ)の局面で機能しやすい。
レンジ(逆張り)
明確なレンジ(サポートとレジスタンスの往復)で、下限買い・上限売りの逆張りを繰り返す。
いつ使う:重要イベントの谷間で、方向感がなく一定幅で往復している時。
なぜトレンドが出ていない時間の大半はレンジ。明確な節目の往復は確率が高い。ただし『ブレイクで即損切り』が絶対条件。
ブレイクアウト
レンジや重要節目(キリ番・前日高安)を、勢いを伴って抜けた方向に乗る。出た方向に順張り。
いつ使う:レンジで値幅が収縮し、重要指標やセッション開始でエネルギーが放出されそうな時。
なぜ溜まった注文(損切り・新規)が一気に約定し、初動が伸びやすい。ダマシを避けるためリテスト確認と値動きの勢いを併用する。
キャリートレード
低金利通貨を売り高金利通貨を買い、為替差益+スワップ(金利差)のインカムを狙う。方向はトレンドに沿わせる。
いつ使う:世界的にリスクオンで、明確な金利差(方向)が継続している時。
なぜ横ばいでもスワップが積み上がる。ただし“静かに積み上げ、急落で一気に失う”非対称な損益。サイズを抑え、リスクオフでは退く規律が要。
価格レベル図はイメージです(実際の値動き・pips幅は通貨ペアと地合いで変わります)。どの戦略でも、エントリーと同時に逆指値(損切り)を置き、損切り幅から数量(ロット)を逆算するのが大前提です。
材料から読む ── 金利・指標・地政学を戦略に変える
為替を動かす材料(中銀の金融政策・経済指標・要人発言・地政学)は、『方向・値動き(ボラ)・時間(セッション)』のどれにどう効くかで、選ぶべき戦略が決まります。まず材料の“型”を一覧で押さえ、代表的な3つを具体例で深掘りします。
材料 → 値動き・方向・戦略の早見表
その材料が何に効くかで戦略が決まる| 材料 | 値動き・ボラへの影響 | 方向の出方 | 候補戦略 | 典型的な罠 |
|---|---|---|---|---|
中央銀行 政策金利 Central Bank | 発表前後で急変、ボラ最大級 | 金利を上げる/タカ派の通貨が買われる | 声明前は様子見→方向確定後にトレンドフォロー | “予想通り”でも声明トーン(タカ/ハト)で逆方向に振れる |
雇用統計(NFP) Employment (NFP) | 発表直後に瞬間的な大変動 | 強い雇用=その国の通貨高に傾きやすい | 発表をまたがず、出た方向の初動 or 落ち着き後に | 発表の瞬間はスプレッド拡大+往復(ストップ狩り) |
消費者物価(CPI) Inflation (CPI) | 利上げ観測に直結し大きく動く | 高インフレ=利上げ期待=通貨高 | 金利観測の変化に沿ってトレンド方向に | 市場の織り込みとのズレ次第。予想通りなら不発 |
要人発言・声明 Officials | 突発的にボラ上昇 | タカ派/ハト派の度合いで方向が出る | 既存トレンドの“燃料”として順張りを継続 | ヘッドラインの一言で急反転。ポジション過大は禁物 |
地政学・リスクイベント Geopolitics | 急騰(ボラスパイク) | リスクオフ=安全通貨(円・ドル・CHF)買い | 安全通貨買い/資源国・新興国通貨の戻り売り | ヘッドラインで乱高下。週末・時間外の窓に注意 |
為替介入・国際収支 Intervention | 介入は一瞬で数百pips飛ぶ | 行き過ぎた一方向を当局が逆へ押し戻す | 介入警戒レンジでは伸び切りを追わない | 天井/底での順張り続行は介入の餌食。逆指値必須 |
代表シナリオを深掘り(3本)
状況 → 方向/金利(需給)/時間の読み → 戦略選択 → 管理状況:米国はインフレ高止まりで利上げ継続(タカ派)、日本は緩和維持(ハト派)。日米金利差が拡大方向で、USD/JPYは高値圏で押し目を作りながら緩やかに上昇中。
強気(ドル買い・円売りのトレンド継続)
金利差は拡大方向→ドル買いの追い風+スワップ受取
数週間〜数ヶ月、押し目を拾って継続保有
- 押し目買い(順張り)金利差トレンドに沿った押し目買いは、損切り近く・利大。スワップも受け取れる三拍子。
- 天井での逆張り売り(非推奨)明確な上昇トレンドに金利差の裏付け。天井当ては介入リスク以外は分が悪い。
20/50期間移動平均への押し目を待ち、反発確定で買い。損切りは押し安値の下。トレールで伸ばし、決定的なトレンド転換まで握る。
高値圏では介入警戒。一部利確とトレールで利益を確保。リスクオフ(急な円高)の兆しが出たら縮小。
FXの最大のトレンドは『金融政策の方向の差』から生まれる。方向に金利差(スワップ)が味方する向きを選ぶと、保有が楽になる。
状況:米雇用統計の発表が30分後。市場予想は+18万人。EUR/USDは直前のレンジで動意薄。市場はやや警戒を示す。
発表まで方向不明(サプライズ次第)
発表直後はスプレッド急拡大+瞬間的に往復
イベント前後の数分〜当日。短期決戦
- 発表後の初動フォロー結果が予想を大きく超え/下回り、出た方向に走り出したら順張り。様子見してから乗る方が安全。
- 発表をまたぐ放置(非推奨)瞬間のスプレッド拡大と往復で、損切りに刺さる『往復ビンタ』になりやすい。
発表をポジションでまたがない。結果と初動の方向を確認し、落ち着いた(スプレッドが戻った)後に出た方向へ。数量は通常より小さく。
瞬間のヒゲ(ストップ狩り)に巻き込まれないよう、損切りはノイズの外へ。伸びなければ即撤退し、深追いしない。
指標は『予想との差』に反応する。良い数字でも織り込み済みなら動かない。発表の“瞬間”はプロの土俵、個人は初動の確認後で十分。
状況:地政学リスクと株安が重なり、市場が一斉にリスク回避へ。VIXが急騰し、資源国通貨(豪ドル)が売られ、安全通貨(円)が買われる。AUD/JPYが急落中。
弱気(資源国売り・円買いの流れ)
キャリーの巻き戻しで需給が一方向に偏る
ショックの数日〜。動きは速く非対称
- 戻り売り(順張り)リスクオフでのクロス円下落は速く深い。戻りを売る順張りが、流れに沿って効きやすい。
- 押し目買い・逆張り(非推奨)『下げ過ぎ』の逆張りは、パニックの最中はナイフ掴み。底打ち確認まで手を出さない。
戻りが移動平均/前回安値(抵抗転換)で頭打ちになった所を売り。損切りは抵抗の上。動きが速いので利確も機動的に。
リスクオフは急反発(リバウンド)も激しい。一部利確を早めに。VIXがピークアウトし始めたら売りは手仕舞う。
リスクオフでは『キャリーの巻き戻し』で高金利通貨が一気に売られる。普段の金利差トレンドと逆向きの、速く非対称な動きに備える。
注記上記はすべて教育目的の“架空”シナリオです。実際のレート・金利差・ボラティリティは地合いで大きく変わり、為替介入のように当局の判断で一変することもあります。重要なのは『材料を方向・金利(需給)・時間(セッション)に分解し、レバレッジと損切りで“最大損失を定義してから”入る』という思考プロセスです。
実例で追う(FX)── トレンドの押し目買いを“数字”で
基礎・戦略・運用を1本に統合します。USD/JPYの押し目買いを、口座100万円・リスク2%から数量(ロット)を逆算し、pip・証拠金・実効レバ・損益までエントリーから手仕舞いまで数字で追います。
日米金利差を背景に上昇トレンドのUSD/JPYを、移動平均への押し目で買う1本。口座100万円・リスク2%(2万円)から数量(ロット)を逆算し、エントリーから決済まで pips・ロット・証拠金・損益をすべて数字で追う。FXの肝である『損切りから数量を決める』流れを体感する。
- Day 0 / 環境認識気づき
金利差トレンド+押し目を確認
何に気づいた米はタカ派・日はハト派で金利差は拡大方向。USD/JPYは日足で上昇トレンド、20日移動平均(150.20付近)へ押してきた。直近の押し安値は149.70。
なぜそう考えたトレンド方向=買い。移動平均が支持として効きやすい局面。スワップ(買いで受取)も追い風。逆張りはしない。
何をした150.20の移動平均への反発を待つ方針。損切り候補を押し安値の下=149.70(約-50pips)に設定。
- Day 0 / サイジング判断
損切り幅から数量を逆算
何に気づいたエントリー想定150.20、損切り149.70=損切り幅50pips。1万通貨あたり1pip≒100円。
なぜそう考えたFXは『当てる』前に『いくら損するか』を確定させる。口座100万円のリスク2%=2万円を上限に、数量を決める。
何をした2万円 ÷ (50pips × 100円/万通貨) = 4万通貨。実効レバ=150.20×4万≒600万円÷100万=約6倍(25倍上限に余裕)。必要証拠金≒24万円。
- Day 1 / 執行実行
押し目反発で買い、逆指値を即セット
何に気づいた150.20の移動平均で下ヒゲ+陽線。反発を確認し、買いシグナル点灯。
なぜそう考えた計画した価格・条件が揃った。考える場面ではなく実行する場面。損切りは“入った瞬間”に置く。
何をした150.22で4万通貨を買い。逆指値を149.70にセット(最大損失≒2.1万円)。利確目標は+150pips(151.70、RR1:3)。
- Day 2–4 / 管理管理
建値へ引き上げ、半分利確
何に気づいた151.00まで上昇(+78pips)。押しは20日線の上で浅く、トレンド継続。スワップも日々受取。
なぜそう考えたまず“負けないポジション”にする。利は伸ばす。トレンドが崩れるまで全部は利確しない。
何をした逆指値を建値150.22へ移動(最悪でも損失ゼロ)。2万通貨を151.00で利確(+1.5R分を確保)。残り2万通貨をトレール。
- Day 5 / 決済決済
目標到達+勢い失速で残りを利確
何に気づいた151.70の節目(キリ番手前)で上ヒゲ+失速。上値が重くなった。
なぜそう考えた目標の+150pipsに到達し、勢いも切れた。欲張らず確定する。
何をした残り2万通貨を151.65で決済。合計≒(+78pips×2万)+(+143pips×2万)=約1.56万+2.86万=約4.4万円(≒+2.2R)+スワップ。
- Day 5 / 振り返り振り返り
ジャーナルに記録
何に気づいた損切り基準で数量を決め、建値移動・分割利確・トレールまで計画通り。実効レバも低く保てた。
なぜそう考えた結果(勝ち)ではなくプロセスを採点。ルール遵守◎。改善は『主トレンドではトレール分をもう少し残す』。
何をした通貨ペア・根拠・pips・ロット・実効レバ・損益(R)・感情を記録。『金利差トレンド+押し目』を勝ちパターンとして分類。
運用 ── 出口とリスク管理で“使える”に変える
エントリーは始まりにすぎません。FXは高レバレッジ・24時間・スワップがあるぶん、『いつ降りるか』と『どれだけ張るか』が損益を決めます。利確/トレール/撤退のルールと、損切りから数量を逆算する固有のサイジングを固めます。
トレード管理 ── いつ・どう手仕舞うか
損切り必須 / トレール / 分割利確 / 建値 / 時間・週末損切りを必ず置く
やること:エントリーと同時に逆指値(損切り)を入れる。例外なく、入った瞬間に。
なぜ:高レバのFXでは塩漬けが一発退場に直結する。損切りは判断ではなく、事前に決めた約束の自動執行にする。
トレーリングストップ
やること:含み益が伸びたら、損切りを利益方向へ追従させる(移動平均・直近安値の下など)。
なぜ:トレンドの大波を伸ばしつつ、利益を守る。FXのトレンドは長いので、握力を保つ仕組みが収益を決める。
分割利確
やること:目標手前で一部利確し、残りをトレールで伸ばす。
なぜ:『利確が早すぎる/遅すぎる』の両方を緩和。確実な利益を確保しつつ、トレンド継続の上澄みも取りにいける。
建値ストップ
やること:一定の含み益が出たら、損切りを建値(エントリー価格)へ移動する。
なぜ:『最悪でも損失ゼロ』のポジションにしてから利を伸ばす。心理的な余裕が、早すぎる利確を防ぐ。
時間・セッションで撤退
やること:デイなら当日(NYクローズ)まで、週末はポジションを軽く/手仕舞う方針を決める。
なぜ:オーバーナイト・週末は窓ギャップとスワップのリスク。狙いの時間軸を超えた“なし崩し保有”を避ける。
スワップとロールの管理
やること:保有方向のスワップが受取か支払いか、三倍付与日(主に水曜)はいつかを把握する。
なぜ:金利差に逆らう向きの長期保有は、スワップ支払いで利益が削られる。インカム狙いなら受取方向に揃える。
リスク管理とサイジング
損切りから数量を逆算し、実効レバを抑える損切り幅から数量を逆算
やること:1トレードの損失(損切りpips × 1pip価値 × 数量)が、口座の1〜2%に収まる数量だけ建てる。
なぜ:FXの生死は数量(ロット)で決まる。先に最大損失を固定し、そこから数量を逆算するのが資金管理の核心。
実効レバレッジを抑える
やること:総建玉÷口座資金で実効レバを把握し、低め(目安3〜10倍程度)に保つ。最大25倍を常用しない。
なぜ:上限いっぱいのレバは数%の逆行で退場。実効レバを抑えることが、連敗しても生き残る最大の防御。
証拠金維持率に余裕を持つ
やること:必要証拠金ギリギリで建てない。余裕資金を残し、ロスカット(強制決済)水準から距離を取る。
なぜ:維持率が薄いと、一時的な逆行(ノイズ)で強制ロスカットされる。耐えるべき揺れで退場しない設計にする。
通貨の相関・ドル偏りに注意
やること:複数ペアを持つ時、ドル絡みなど同方向に動く建玉が偏っていないか確認する。
なぜ:相関の高いポジションは“実質1つの大きな賭け”。ドル全面安などで一斉にやられ、想定の倍のリスクになる。
イベントをまたぐ数量を絞る
やること:重要指標・中銀会合・要人発言をまたぐ時は、数量を減らすか手仕舞う。
なぜ:発表直後はスプレッド拡大・スリッページで損切りが機能しにくい。意図せず大きく張ってまたぐのは最も危険。
週末・窓・三倍スワップ
やること:週末持ち越しは数量を軽く。月曜の窓・水曜の三倍スワップ日の影響を織り込む。
なぜ:週末の地政学イベントは月曜の窓で損切りを飛び越える。管理できないリスクは、サイズを落として向き合う。
FX執行前の“上乗せ”チェック
共通の執行前チェックに加えて確認する固有項目- ☐通貨ペアと時間軸(セッション)は、流動性と自分の生活リズムに合っているか
- ☐大局の方向観(金利差・金融政策・リスクオン/オフ・ドルの強弱)を明文化したか
- ☐相場環境(トレンド/レンジ/キャリー)に合った戦略を1つに絞ったか
- ☐エントリー・損切り・利確の価格をpipsで定義し、RRは1:2以上か
- ☐損切りpips × 1pip価値 × 数量 が、口座リスク(1〜2%)に収まっているか
- ☐実効レバレッジ(総建玉÷口座)は低め(目安3〜10倍)に保てているか
- ☐保有方向のスワップは受取か支払いか、三倍付与日を確認したか
- ☐またぐ予定の重要指標・中銀会合・要人発言はないか(あれば数量調整/回避)
- ☐週末・時間外の窓リスクを踏まえ、持ち越し数量は適切か
執行前チェックリスト ── 引き金を引く前に
毎トレード、引き金を引く前に回す確認です。クリックでチェックし、全項目が埋まって初めて“執行可能”。1つでも欠ければ、その回は見送ります。(チェック状態はこのブラウザに保存されます)