スキャルピング
数秒〜数分で薄利を積み上げるスキャルピング。板(Lv2)と歩み値を頼りに、需給が傾いた一瞬だけを取りにいく当日完結の最短手法です。約定スピードと手数料が死活問題になります。
- 保有時間
- 数秒〜数分
- 取引回数
- 数十〜数百回
- 狙う値幅
- 0.1〜0.5%(数ティック)
- 判断材料
- 板(Lv2)・歩み値・1分足以下
- 心理的負荷
- 極めて高い/瞬発力勝負
この手法を回す手順
上から順に。各ステップをタップすると、その詳細セクションへ移動します。迷ったら、この順序に戻ってきてください。
デイトレの1日 ── 寄り前から引け後まで
当日完結トレーダーの一日です。勝負は寄り付き前にほぼ決まっています。時間帯ごとに『何をして、なぜそうするのか』を追います。バーはその時間帯のボラ/集中度の目安。(スイングの週次ケイデンスはスイングのページで扱います)
- 寄り前 (1)ET 7:00–8:30情報収集
世界の地合いと『今日の物語』を仕込む
集中度30- ▹経済指標カレンダー確認(CPI・雇用統計・FOMC等の発表時刻を頭に入れる)
- ▹プレマーケットのギャップ銘柄スキャン(前日比で大きく動いている銘柄を抽出)
- ▹材料の確認:決算、ガイダンス、M&A、FDA承認、格付け、アナリスト変更
- ▹指数先物・VIX・セクターの強弱で『リスクオンかオフか』を判定
なぜ値が動く銘柄には必ず理由(カタリスト)がある。『なぜ動いているか』を先に把握しておくと、寄り後の値動きが“読めるノイズ”になる。
- 寄り前 (2)ET 8:30–9:30計画立案
ウォッチリストと『if-then』のシナリオを作る
集中度45- ▹監視銘柄を3〜5本に絞る(多すぎると判断が雑になる)
- ▹各銘柄の重要価格を線引き:プレマ高値/安値、前日高値/安値、VWAP想定、節目
- ▹『◯◯を超えたら買い、△△を割ったら撤退』のif-thenを文章で決める
- ▹1トレードの許容損失(=リスク額)と株数を逆算しておく
なぜ寄り後は時間がない。事前に『どうなったら何をするか』を決めておくことで、本番では“実行するだけ”の状態にする。判断と実行を分離するのが規律の本質。
- 寄り付きET 9:30–10:30主戦場
最初の1時間 ── 1日のボラの大半がここに集中
集中度100- ▹オープニングレンジ(寄りの数分のレンジ)の上下抜けを監視
- ▹出来高を伴ったブレイクか、ダマシかを歩み値・板で見極める
- ▹計画した価格に来たらエントリー、来なければ『待つ』
- ▹逆行したら即・損切り。利が乗ったら一部利確 or 建値ストップに移動
なぜ寄り直後は参加者が最も多く、値幅・出来高ともに最大。優位性が一番出やすい時間帯なので、勝負どころをここに集中させる。
- 中盤ET 11:00–14:00休憩・厳選
ランチタイム ── 動かない時間は無理しない
集中度25- ▹出来高が枯れてレンジ化しやすい=ダマシが増える時間帯
- ▹明確なセットアップ以外は手を出さず、待機 or 離席
- ▹午前のトレードを軽く振り返り、地合いの変化をチェック
なぜ『動かない相場で利益を出そうとする』のが負ける典型。エッジが薄い時間帯に取引回数を増やすと、手数料とダマシで削られる。やらないことも戦略。
- 引け前ET 14:00–16:00クロージング
終盤の流れに乗り、ポジションをゼロにする
集中度70- ▹引けにかけてトレンドが再加速する『パワーアワー』を狙う
- ▹機関のリバランス・引け成行の偏りを意識
- ▹当日中に全ポジション手仕舞い(持ち越しの窓リスクを取らない)
なぜデイトレの定義は『当日決済』。オーバーナイトでGAPを食らうと、日中の損切りルールが意味をなさなくなる。リスクを管理可能な範囲に閉じる。
- 引け後ET 16:00 以降振り返り
トレードジャーナル ── 勝敗ではなく『プロセス』を採点
集中度35- ▹全トレードを記録:銘柄/根拠/エントリー・撤退理由/損益/感情
- ▹『ルール通りやれたか』を勝敗と分けて評価する
- ▹良かった型・破った型を分類し、翌日の改善点を1つだけ決める
なぜ上達の9割はここ。個々の勝ち負けは確率のブレだが、ジャーナルで『再現性のある優位性』と『悪い癖』を切り分けることで、長期の期待値が上がる。
何に気がつくのか ── 着眼点とシグナル
当日トレードの着眼点です。無数の銘柄・無数のティックの中から、彼らはごく少数のサインだけを拾います。『需給・価格・材料・相対力』の4カテゴリで整理しました。(スイングの日足/週足ベースの着眼点はスイングのページで扱います)
出来高の急増
何を:平常時の数倍の出来高が突然発生する。チャートの出来高バーが突き出る。
なぜ効く:出来高は『参加者の本気度』。値動きに出来高が伴うほど、その方向への動きは信頼でき、継続しやすい。出来高なきブレイクはダマシを疑う。
ギャップアップ / ダウン
何を:前日終値から窓を空けて始まる。多くは寄り前の材料が原因。
なぜ効く:窓は需給の急変サイン。埋めにいくのか、走るのか(Gap & Go)でその日の性格が決まる。スキャナーで最初に拾う対象。
VWAPとの位置関係
何を:出来高加重平均価格。その日の参加者の平均コスト。上にいれば買い優勢、下なら売り優勢。
なぜ効く:機関投資家の執行基準。VWAP上での押し目買い/VWAP奪回は、デイトレで最も使われる“地図”。多くの人が見ている=自己実現的に効く。
サポート / レジスタンス・節目
何を:前日高安、当日高安、キリの良い価格、移動平均線などの反発・抵抗帯。
なぜ効く:多くの参加者が同じ価格を意識するため、反発・ブレイクが起きやすい。注文(指値・逆指値)が溜まる場所=値が動くトリガー。
カタリスト(材料)
何を:決算サプライズ、ガイダンス修正、M&A、新薬承認、提携、規制、要人発言。
なぜ効く:持続する値動きの源泉。『なぜ動くか』の答え。材料の質(一過性かトレンド化するか)を見極めるのがデイトレの目利き。
板・歩み値(テープ)
何を:Level2の指値の厚み、大口の出入り、約定が買い側か売り側か。
なぜ効く:チャートに現れる前のリアルタイムの需給。スキャルパーの主戦場。大きな“壁”の崩れや、見せ板の消滅が瞬間の方向を教える。
相対的強さ(RS)
何を:指数やセクターが下げる中で、下げない/上げる銘柄。逆も同様。
なぜ効く:『一番強い馬に乗る』。地合いが上向いた瞬間、最も強い銘柄が最も伸びる。買うべき1本を選ぶための比較軸。
ボラティリティ(ATR)
何を:値幅の大きさ。ATRやベータで測る。動かない銘柄はそもそも対象外。
なぜ効く:デイトレは『動いてナンボ』。値幅がなければ薄利すら取れない。ボラと流動性の両立した銘柄だけが土俵に上がる。
なぜ『買おう』と思うのか ── 鉄板セットアップ
デイトレ/スキャルの代表的な型です。彼らは気分で買いません。事前に定義した“型(セットアップ)”の条件が揃った時だけ引き金を引きます。5つの型を、エントリー・損切り・利確まで分解します。(スイングの型はスイングのページで扱います)
オープニングレンジ・ブレイクアウト
寄り後5〜30分で作られる最初のレンジ(高値・安値)の外抜けに乗る。
- 1寄り後5〜30分でできる最初の高値・安値(レンジ)を引く。
- 2レンジ上限を、出来高を伴って明確に上抜けた所(▲)が起点。
- 3損切りはレンジ内、利確はレンジ幅の1〜2倍を目安にする。
寄りの綱引きの決着=その日の方向が出た瞬間。買い手と売り手のどちらが勝ったかが価格で可視化され、勝った側に追随が入りやすい。
板読み ── “今この瞬間”の需給を読む
板(いた、Order Book / Level 2)は、各価格に“今”どれだけの買い注文(買い気配)と売り注文(売り気配)が並んでいるかを示すリアルタイムの一覧です。チャートに形が現れる前の需給そのもの。歩み値(Time & Sales=実際の約定の流れ)と合わせて読むのが基本で、特にスキャル・デイトレの主戦場になります。下は板と歩み値の読み方の模式図です。
売り気配を“食って”買う約定(at ask=緑)が連続=積極的な買い。価格が上の気配へ 食い上がっており、買いの勢いが強い状態を表します。
板と歩み値の読み方
チャートに現れる前の需給シグナルスプレッド
Spread最良買い気配と最良売り気配の差。狭いほど流動性が高く、往復の取引コストが小さい。広い銘柄はスキャル不向き。
厚み・壁
Depth / Wallある価格に極端に大きな数量が並ぶ=支持/抵抗の壁。崩れる(食われる)と一気にその方向へ動きやすい。
インバランス
Imbalance買い気配の総量 > 売り気配なら上方向の圧力(逆も同様)。需給がどちらに傾いているかを読む。
歩み値(テープ)
Time & Sales売り気配を食って買う(at ask)=積極的な買い、買い気配を叩く(at bid)=積極的な売り。約定の速さと大きさで勢いを測る。
見せ板(スプーフィング)
Spoofing約定させる気のない大口の“見せかけ”。価格が近づくと消える。板の数字を鵜呑みにしない理由。
アイスバーグ注文
Iceberg表示は小さいのに、約定するたび次々と補充される隠れ大口。テープで“減らない壁”として気づく。
手法別の使い分け
速い手法ほど板に依存、遅い手法ほど不要最重要の主戦場。板の厚み・壁の崩れ・テープの勢い(at ask連打)で、秒単位の方向と反転を取る。スプレッドの広い銘柄は避ける。
エントリー/手仕舞いの精度上げに使う。ブレイク時に売り板が薄いか(走りやすいか)、節目に壁があるかを確認。
基本は見ない。指値中心で、約定執行の瞬間に大口の壁を避ける程度。判断は日足の終値ベース。
ほぼ無関係。分割買いの指値を置くだけで、リアルタイムの板は意思決定に使わない。
- !現代の板はHFT・アルゴが高速で注文を出し入れするため、見た目の厚みは“ヒント”であって確実ではない。見せ板も多い。
- !嘘が少ないのは『実際に約定した歩み値』。板(意思表示)より、テープ(結果)を重視する。
- !板に張り付きすぎると消耗し、オーバートレードを招く。スキャル以外は依存しすぎないこと。
テクニカル分析 ── 手法とスタイル別の使い分け
テクニカル分析は『未来を当てる魔法』ではなく、需給と確率を読むための“地図”です。同じ指標でも、保有時間(スタイル)が変われば見る時間軸も使い方も変わります。重要なのは(1)1つの指標を妄信しない (2)複数の根拠が同じ価格で重なる『合流(コンフルエンス)』を探す (3)テクニカルでエントリーとリスク(損切り位置)の両方を定義する、の3点です。なお長期保有では売買判断の主役はファンダメンタルズであり、テクニカルは『分割買いのタイミングと大局の方向確認』という補助に徹します。
多時間軸分析(3段ズーム)
上位足で方向、執行足で仕掛ける| スタイル | 環境認識(方向) | セットアップ確認 | 執行(引き金) |
|---|---|---|---|
| スキャル | 5分足(当日の地合い・VWAP) | 1分足(レンジ・直近の高安) | ティック / 秒足・板(瞬間の需給) |
| デイトレ | 日足(トレンド・主要な節目) | 15〜60分足(当日の構造) | 5分足(ブレイク・反発の確定足) |
| スイング | 週足(大局のトレンド) | 日足(ベース・移動平均・パターン) | 日足の終値 / 翌日の寄り(指値) |
| 長期 | 月足(超長期トレンド・経済サイクル) | 週足(割安圏・200日線・大底/天井圏) | 日足で分割買い(タイミングより“方向”重視) |
鉄則は『上位足の方向に、下位足で執行する』。上位足が上向きの時だけ、執行足の押し目・ブレイクを買う。上位足に逆らった執行足のサインはダマシになりやすい。スタイルが違っても、この“3段ズーム”の構造は共通です。
指標と使い方
カテゴリ別・各スタイルでの使用度(◎主軸/○補助/△限定)トレンド
移動平均線(SMA / EMA)
- 1価格(白)が移動平均(青)の上にある=上昇トレンド。買い目線に固定する。
- 2上昇の途中で価格がMAまで“押した”所(▲)が押し目買いの候補。
- 3MAを支えに反発したら買い、逆にMAを明確に割ったら手仕舞いの合図。
何を測る:一定期間の平均価格。トレンドの方向と、動的なサポート/レジスタンス。
使い方:価格が上向きMAの上なら買い目線。MAへの押し目を支持反発で拾い、MA割れを手仕舞いの基準にする。短期線が長期線を上抜く(ゴールデンクロス)でトレンド転換を測る。
注意:レンジ相場では機能せず、往復で削られる(ダマシ)。反応の速いEMAは早いがブレも増える。
MACD
- 1下のパネル:MACD線(青)がシグナル線(橙)を下から上に抜く=ゴールデンクロス(●)。
- 2そのクロスのタイミングで価格(上)を買う(▲)。0ラインの上抜けはトレンド入りの確認。
- 3逆に上から下抜く(デッドクロス)は売り・手仕舞いの合図。反応はやや遅れる点に注意。
何を測る:2本のEMAの差で、トレンドの方向・勢い・転換の兆しを同時に測る。
使い方:シグナル線とのクロスで方向転換、ヒストグラムの増減で勢いの加速/減速を読む。ゼロライン上抜けで上昇トレンド入りを確認。価格との逆行(ダイバージェンス)は転換の予兆。
注意:遅行指標。だましクロスが多く、急変には間に合わない。単独では使わず確認用に。
トレンドライン/チャネル
- 1安値同士を結んだ右肩上がりの支持線(実線)と、高値同士の抵抗線(破線)で“通り道”を描く。
- 2価格が下限の支持線まで下げて反発した所(▲)が押し目買い。上限はいったん利確の目安。
- 3支持線を明確に割れたらトレンド終了のサイン=撤退する。
何を測る:高値同士・安値同士を結んだ線。トレンドの角度と、反発・ブレイクの基準。
使い方:上昇なら安値を結んだ支持線で押し目買い、線割れで撤退。平行チャネルなら上限売り/下限買いの逆張り、ブレイクで順張りに切替。
注意:引き方に主観が入る。多くの人が意識する“きれいな線”ほど機能する。
ADX / DMI
- 1ADX(下)は“方向”ではなく“トレンドの強さ”を示す。25(点線)が分かれ目。
- 2ADXが25を上抜けた後(●)は強いトレンド=ブレイクの順張りが有効になる。
- 325以下はレンジ=逆張り(オシレーター)向き。戦法を切り替える判断に使う。
何を測る:トレンドの“強さ”(方向ではなく勢いの有無)。
使い方:ADXが25以上=トレンド発生→順張り(ブレイク)有利。20以下=レンジ→逆張り(オシレーター)有利、と戦法を切り替える判断に使う。
注意:方向は示さない(+DI/-DIで補う)。遅行する。
一目均衡表
- 1価格が“雲”(紫の帯)の上にある=強気。下なら弱気と、ひと目で相場の強弱が分かる。
- 2上昇中に価格が雲の上限まで押して反発した所(▲)が買い場。雲が分厚いほど支持は強い。
- 3価格が雲の中に入る・下抜けるとトレンドが崩れるサイン。
何を測る:雲(抵抗帯)・転換線/基準線・遅行スパンで、トレンドと支持抵抗を一括把握。
使い方:価格が雲の上=強気、下=弱気。基準線を支えにした押し目、雲のねじれ(変化日)、三役好転で総合判断。雲が厚いほど抵抗が強い。
注意:情報量が多く初心者は混乱しがち。要素を絞って使う。
モメンタム
RSI
- 1RSI(下)は買われ過ぎ(70+)・売られ過ぎ(30−)を測る。帯は30〜70の通常ゾーン。
- 2上昇トレンド中はRSIが40付近まで下げた所(●)が絶好の押し目=価格を買う(▲)。
- 3高値更新でRSIが切り下がる“弱気ダイバージェンス”は反落の予兆。強い相場では70超でも上げ続ける点に注意。
何を測る:値動きの強弱を0〜100で。買われ過ぎ(70+)・売られ過ぎ(30-)とダイバージェンス。
使い方:トレンド中はRSIの押し目(上昇トレンドでRSI40〜50への低下)を買い場に使う。価格高値更新でRSIが切り下がる弱気ダイバージェンスは反転の予兆。
注意:強トレンドでは“買われ過ぎ”のまま上昇が続く。逆張りの早仕掛けに注意。
ストキャスティクス
- 1レンジ相場が得意。下の20以下=売られ過ぎ、80以上=買われ過ぎ。
- 220以下で%K(青)が%D(橙)を上抜く所(▲)が買い、80以上で下抜く所(▼)が売り。
- 3価格がレンジ下限の支持(緑)に来たタイミングと重なると信頼度が上がる。トレンド相場では張り付くので使わない。
何を測る:直近のレンジ内で終値がどこにあるか。短期の買われ/売られ過ぎ。
使い方:%Kと%Dのクロスでタイミングを計る。レンジ相場の上限/下限での反転狙いに有効。スローストキャスでダマシを減らす。
注意:トレンド相場では張り付いて機能しない。レンジ専用と割り切る。
CCI
- 1CCI(下)は平均からの行き過ぎを測る。±100が強い勢いの目安。
- 2+100を上抜けた所(▲)は強いモメンタム=順張りの買い。−100割れからの戻りは反転狙い。
- 30ライン回帰は勢いの低下サイン。閾値は銘柄・時間軸で調整する。
何を測る:平均からの乖離。±100超で強い勢い/行き過ぎを示す。
使い方:+100上抜けでモメンタム順張り、±100からの戻りで行き過ぎの反転狙い。ゼロライン回帰でトレンドの勢い低下を確認。
注意:値が無限にぶれる。閾値は銘柄・時間軸で調整が要る。
ボラティリティ
ボリンジャーバンド
- 1バンド幅=ボラの大きさ。左側のように幅が縮む“スクイーズ”はエネルギーの蓄積。
- 2縮んだ後にバンドが拡大し、価格が上バンドを抜けた所(▲)がブレイクの初動=買い。
- 3トレンド中はバンドに沿って上げる“バンドウォーク”。±2σタッチ=即逆張り、は誤り。
何を測る:移動平均±標準偏差。価格のばらつき(ボラ)と相対的な行き過ぎ。
使い方:バンド収縮(スクイーズ)→拡大(エクスパンション)でブレイクの初動を取る。トレンド中はバンドに沿って動く“バンドウォーク”に順張り。レンジでは±2σタッチの反転狙い。
注意:±2σタッチ=即逆張り、は誤り。トレンドでは張り付く。スクイーズ後の方向は出てから。
ATR
- 1ATR(下)は1本あたりの平均値幅=ボラの大きさ。方向は示さない“物差し”。
- 2買値(▲)から「ATR×2」下に損切り(赤破線)を置く。ボラが大きいほど損切りは遠く、その分株数を減らす。
- 3これでどの銘柄でも1トレードの損失額を一定(例:口座の1%)に揃えられる=サイジングの中核。
何を測る:1本あたりの平均的な値幅=ボラティリティの大きさ。
使い方:損切り幅を『ATRの○倍』で置き、ボラに応じてストップと株数(ポジションサイズ)を自動調整する。利確目標もATR建てで設定。エントリーシグナルではなくリスク設計の中核。
注意:方向は示さない。あくまでリスク量の物差し。
ケルトナーチャネル
- 1幅広いケルトナー(橙)の内側に、狭いボリンジャー(青)が完全に収まる=強いスクイーズ(TTM)。
- 2蓄積後、価格がバンド外へ放れた所(▲)がブレイクの初動。
- 3“いつ動くか”を教える指標。方向自体は出来高や価格の抜けで別途確認する。
何を測る:EMA±ATRのバンド。ボリンジャーより滑らかなボラの帯。
使い方:ボリンジャーがケルトナーの内側に収まる『スクイーズ』はエネルギー蓄積→ブレイク前兆(TTMスクイーズ)。バンド外への放れで順張り。
注意:ブレイクの方向は別途確認が要る。スクイーズは“タイミング”の指標。
出来高
出来高
- 1下の棒が出来高=参加者の本気度。レンジ中は細く、注目が集まると急増する。
- 2抵抗(赤破線)を、出来高の急増(緑の長い棒)を伴って上抜けた所(▲)が“本物”のブレイク=買い。
- 3出来高を伴わない上抜けはダマシを疑う。値動きは必ず出来高とセットで見る。
何を測る:参加者の本気度・関心の大きさ。値動きの“裏付け”。
使い方:ブレイクは出来高増を伴って初めて信頼。出来高なき上昇は息切れしやすい。急増(クライマックス)は転換の節目。基本にして最重要の確認材料。
注意:出来高だけでは方向は決まらない。価格と必ずセットで読む。
VWAP
- 1VWAP(青)=その日の参加者の平均コスト。価格がVWAPの上=買い優勢、下=売り優勢。
- 2上昇中に価格がVWAPまで押して反発した所(▲)が、機関の買い支えを使った王道の押し目買い。
- 3損切りはVWAPの少し下。当日限定の指標で、日をまたぐスイング・長期では使わない。
何を測る:出来高加重平均価格=その日の参加者の平均コスト。
使い方:VWAP上=買い優勢、下=売り優勢。VWAPへの押し目買い/戻り売り、VWAP奪回をトレンド転換の合図にする。機関の執行基準で、多くの人が見るため自己実現的に効く。
注意:“当日”の指標。日をまたぐスイングでは意味を持たない(アンカードVWAPは別)。
出来高プロファイル
- 1右の横棒は“価格帯ごと”の出来高。最も長い帯=POC(出来高最大の価格)。
- 2POC(緑破線)はよく取引された価格=強い支持/抵抗になりやすい。価格はここで反応(●)する。
- 3出来高の薄い価格帯は素早く通過する。時間ではなく“価格”で節目を捉える発想。
何を測る:価格帯ごとの出来高。よく取引された価格(POC)と価値領域(VA)。
使い方:出来高の多い価格帯(HVN)は支持抵抗になりやすく、少ない帯(LVN)は素早く通過する。POC・VAH/VALを反発/ブレイクの節目に使う。
注意:対象期間の取り方で姿が変わる。時間ではなく“価格”で見る発想が要る。
OBV
- 1OBV(下)は出来高を累積し、資金が流入(蓄積)か流出(分散)かを示す。
- 2価格は高値を更新(▼)しているのに、OBVは前の山より低い(●)=水面下で売られている“弱気ダイバージェンス”。
- 3価格に先行して需給の変化を警告する。反落に備える/利確する判断材料。
何を測る:出来高の累積で、資金の流入(蓄積)/流出(分散)を測る。
使い方:価格が高値圏でもOBVが切り下がる=水面下の売り(弱気ダイバージェンス)。価格に先行して需給の変化を捉える確認材料。
注意:絶対値に意味はなく、方向とダイバージェンスを見る指標。
プライスアクション
サポート/レジスタンス
- 1サポート(緑)=買いが入る帯、レジスタンス(赤)=売りが出る帯。レンジ下限の支持で買い(▲)。
- 2レジスタンスを上抜けた後、その水準まで戻って“支持に変わった”所(▲リテスト)が低リスクの買い場。
- 3抜けた抵抗が支持に転換する=ロールリバーサル。損切りはその水準の少し下に置く。
何を測る:売買が交錯し反発・抵抗が起きる価格帯。前日高安・節目・ラウンドナンバー。
使い方:支持で買い/抵抗で売り、ブレイクで順張り。抜けた抵抗は支持に転換(ロールリバーサル)。すべてのセットアップの土台で、ここに損切りと利確を紐付ける。
注意:“線”ではなく“帯”。何度も試された水準ほど、抜けると大きく動く。
ローソク足パターン
- 1下落が支持帯(緑)に到達。長い下ヒゲのローソク(ハンマー)は、売られても買い戻された=売り圧力の枯渇。
- 2次に前の陰線を丸ごと包む大きな陽線(陽の包み足)が出たら、買い手優勢への転換サイン=買い(▲)。
- 3単体では機能しない。必ず支持帯など“重要な価格”と重なった所で見ること。
何を測る:1〜数本のローソクの形で、買い手/売り手の攻防と転換の兆し。
使い方:重要価格での long下ヒゲ(ピンバー)・包み足・はらみ足・十字線を反転/継続のサインに。指標より速く、価格そのものの“意思”を読む。
注意:単体・無関係な場所では機能しない。必ず支持抵抗など文脈と重ねる。
チャートパターン
- 1高値は同じ水準(水平の抵抗・赤)で抑えられ、安値は切り上がる(緑)=上昇三角形。買い圧力が貯まっている形。
- 2煮詰まった後、抵抗を上抜けた所(▲)がブレイク=買い。三角形の高さ分が値幅の目安(measured move)。
- 3ブレイクは出来高増を伴うほど信頼できる。だましに備え、抜けてから動く。
何を測る:フラッグ・三角持ち合い・ヘッド&ショルダー・ダブルトップ/ボトム・カップ等の値動きの“型”。
使い方:持ち合い(フラッグ/三角)のブレイクで順張り、反転型(H&S/ダブル)で転換を取る。パターンの高さ分を値幅目標(measured move)にする。
注意:後付けで“見えてしまう”罠。ブレイクと出来高で確定してから動く。
フィボナッチ・リトレースメント
- 1上昇(импульス)の後の“押し”がどこで止まるかの目安を、38.2 / 50 / 61.8% に引いておく。
- 2深い押しの代表が61.8%(橙)。ここまで下げて反発した所(▲)が押し目買いの候補。
- 3フィボ単独では効かない。移動平均や節目と“重なる(合流)”所ほど反発の信頼度が高い。
何を測る:上昇/下落幅に対する押し/戻りの目安(38.2% / 50% / 61.8%)。
使い方:トレンド中の押し目買いの“候補価格”を事前に引いておく。移動平均や節目とフィボが重なる所(合流)は反発の信頼度が高い。
注意:単独の魔法の数字ではない。他の根拠と重なって初めて意味を持つ。
テクニカルを使ううえの原則
◆合流(コンフルエンス)を狙う
1つの指標を信じるのではなく、移動平均・節目・フィボ・出来高など複数の根拠が同じ価格で重なる場所だけを狙う。根拠が増えるほど、確率(=エッジ)が上がる。
◆指標を盛り過ぎない
似た情報の指標を10個並べても、同じことを別の顔で言っているだけ(多重共線)。トレンド・モメンタム・出来高・価格から各1つに絞り、判断を速く・濁らせない。
◆エントリーと損切りをセットで定義
テクニカルの役割はエントリーだけではない。『どこが否定されたら間違い=損切り』を同じチャートで決める。これが損小利大とリスク管理の起点になる。
◆上位足優先・予言ではなく確率
下位足のサインは上位足の方向に従う時だけ採用する。そしてどんな手法も外れる前提で、当たった時に大きく・外れた時に小さく、を徹底する。
実戦シナリオ ── 具体例で“どう取引するか”
板・歩み値とVWAPを頼りに、瞬間の需給を取るスキャルの代表的な場面を、具体例で追います。
状況:寄り後5分のレンジが $224.0〜224.6 で形成(仮の数値)。朝の出来高は厚く、指数(QQQ)も上向きでリスクオン。
レンジ上限 $224.6 の上に大きな売り板が乏しく、歩み値は at ask(買い約定)が連続。買いが攻めている。
価格はVWAPの上で推移。直近の抵抗はレンジ上限 $224.6。
寄り後の最初の30分=ボラと出来高が最大の主戦場。
$224.6 を出来高増を伴って明確に上抜けた確定足で $224.65 をロング。
レンジ中央 $224.2 割れで即撤退(リスク約 $0.45/株)。
レンジ幅分の $225.1 で半分利確、残りはVWAP割れ/勢い失速までトレイル。逆行は秒で切る。
寄りの綱引きの決着=方向が出た瞬間。出来高なきブレイクはダマシ。板が薄い方向へ走る。
状況:上昇中の銘柄が午前中盤にVWAP($118.5付近)まで押した(仮の数値)。押し目で出来高は減少。
VWAP直下に買い板が厚い。歩み値の売り約定の勢いが弱まり、下げ渋りが見える。
VWAPは機関の平均コスト=支持になりやすい。下ヒゲで反発の兆し。
逆張りではなく“トレンド方向への押し目買い”。上位足は上向き。
VWAP直上で反発を確認して $118.7 をロング。
VWAPを明確に割る $118.2 の直下(リスク約 $0.5/株)。
直近高値更新で部分利確、ストップを建値へ。トレンド継続なら伸ばす。
VWAPは多くの人が見る“地図”=自己実現的に効く。リスク極小で損小利大を作りやすい王道。
状況:ザラ場中に好材料(提携・格上げ等)のヘッドラインがヒット。株価が数秒で急騰し出来高が爆発。
売り板が次々と食われ、歩み値が at ask で高速点灯。スプレッドが一時的に拡大。
VWAPから大きく上方乖離。初動の勢いが続くか、行き過ぎかを見極める。
ヘッドライン直後の数十秒〜数分。最も荒く、最も滑る時間帯。
飛び乗らず、初動の最初の浅い押し目で、スプレッドが落ち着いてからロング。
直近の押し安値の下。急変時は迷わず成行で撤退。
急騰は長続きしないことが多い。伸びたら素早く部分利確、勢い失速で全部。
初動は“滑る”。スプレッド拡大時の成行は厳禁。飛び乗りの高値掴みが最大の失敗。
注記銘柄名・数値は仕組みを理解するための例示であり、特定の売買推奨や将来予測ではありません。実際の相場では地合い・流動性・個別事情によって最適な判断は変わります。
執行前チェックリスト ── 引き金を引く前に
毎トレード、引き金を引く前に回す確認です。クリックでチェックし、全項目が埋まって初めて“執行可能”。1つでも欠ければ、その回は見送ります。(チェック状態はこのブラウザに保存されます)