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Margin

信用取引(レバ・空売り)

証拠金を担保に、お金を借りて株を買う(信用買い)・株を借りて売る(空売り)取引。現物株の直系の拡張で、レバレッジ・下落取り・ヘッジ(つなぎ売り)という武器が増えます。その代わり追証・踏み上げ(空売りの損失は青天井)・逆日歩などの固有リスクを負う、“攻めと幅”を広げる手法。資金管理の規律が現物以上に問われます。

保有時間
数分〜6ヶ月(制度は期限あり)
取引回数
デイ〜スイングで可変
狙う値幅
現物の値幅 × レバレッジ(最大約3.3倍)
判断材料
現物と同じ材料+信用残・逆日歩・規制
心理的負荷
高(追証・踏み上げ・コスト)
キー用語:信用買い / 空売り委託保証金 / 追証制度信用 / 一般信用逆日歩 / 貸株料踏み上げ
01Margin Basics

信用取引 ── レバレッジと“空売り”で、株の幅を広げる

信用取引は『証拠金を担保に、お金を借りて買う(信用買い)・株を借りて売る(空売り)』取引。銘柄の分析は現物と同じですが、レバレッジ・下落取り・ヘッジという武器が増える代わりに、追証・踏み上げ・逆日歩という固有リスクを負います。まずは基礎概念と主な使い方、そして信用特有の着眼点を押さえます。

信用取引は『証券会社に証拠金(委託保証金)を預け、お金を借りて株を買う(信用買い)、または株を借りて売る(空売り)』取引です。現物株の直系の拡張で、最大の魅力は(1)レバレッジ(最大約3.3倍)で資金効率を上げられること、(2)下落局面でも“空売り”で稼げること、(3)保有株を売らずに守る“つなぎ売り”ができること。銘柄の分析・着眼点は現物とまったく同じですが、固有の管理が増えます──含み損で保証金が不足すると『追証(追加保証金)』、空売りは買い戻しで損失が青天井になる『踏み上げ』、株不足で発生する『逆日歩』、金利・貸株料・配当落調整金などのコスト、そして制度信用の返済期限(6ヶ月)。つまり“現物で勝てる人が、武器と幅を増やす”ための手法であり、資金管理の規律が現物以上に問われます。

BASICS

まず押さえる基礎概念

買い/空売り・保証金・追証・制度/一般・コスト・返済

信用買いと空売り

Long / Short

意味:信用買い=資金を借りて株を買い、値上がりで稼ぐ(レバレッジ)。空売り=株を借りて売り、値下がりで買い戻して稼ぐ。

ポイント:現物にない“売りから入る”が最大の追加機能。下落・割高の修正からも利益を狙え、相場の両方向に張れるようになる。

委託保証金とレバレッジ

Margin / Leverage

意味:建玉の担保として預ける保証金。委託保証金率は最低30%程度=最大およそ3.3倍の建玉が可能(最低保証金30万円)。

ポイント:自己資金以上のポジションを持てる効率の裏返しで、損失も同じ倍率で膨らむ。レバの取り過ぎが退場の最大要因。

保証金維持率と追証

Maintenance / Margin Call

意味:建玉に対する保証金の割合(維持率)。含み損で維持率が最低水準(例20%)を割ると、追加入金(追証)か強制決済になる。

ポイント:現物の塩漬けと違い、信用は“持ちこたえるのに現金が要る”。追証ラインを把握しないと、不本意な強制決済で底値を売らされる。

制度信用と一般信用

System / Negotiable

意味:制度信用=返済期限6ヶ月・逆日歩あり・対象は貸借銘柄。一般信用=証券会社が条件設定、期限が長い/無期限・逆日歩なし(在庫限り)。

ポイント:空売りのコストとリスクが大きく変わる。逆日歩を避けたい・長く持ちたいなら一般信用、と使い分ける判断軸になる。

諸費用(金利・貸株料・逆日歩)

Costs

意味:信用買いは買い方金利、空売りは貸株料を日々支払う。株不足だと『逆日歩(品貸料)』が発生。配当権利日をまたぐと配当落調整金の授受。

ポイント:保有が長いほどコストが効く。特に逆日歩は青天井になりうる隠れコスト。“持つだけで減る”構造を理解して短期で回す。

返済(反対売買・現引き/現渡し)

Settlement

意味:反対売買で差金決済するのが基本。信用買いを現金で引き取る『現引き』、空売りに現物を渡す『現渡し(つなぎ売りの決済)』もある。

ポイント:期限・コスト・つなぎ売りの出口を決める。現渡しは保有現物の下落ヘッジを“現物を手放さず”完了させるテクニックの要。

USES

信用取引の主な使い方

攻め / 守り / テクニック ── 目的で型が変わる

レバレッジ買い

Leveraged Long
攻め

内容:資金効率を上げ、自己資金以上のロングで上昇を増幅する。最も基本的な信用買いの使い方。

着目:効率の裏返しで損失も増幅。実効レバを2倍以下に抑え、追証ラインに余裕を持たせるのが生存の条件。

空売り(新規売り)

Short Selling
攻め

内容:株を借りて売り、下落で買い戻して稼ぐ。割高・悪材料・下降トレンドの“修正”を取りにいく。

着目:損失は青天井(踏み上げ)。損切り必須、逆日歩・配当落調整金・規制(売り禁止)を必ず事前に確認する。

つなぎ売り(ヘッジ)

Hedge Short
守り

内容:保有現物と同数を空売りし、下落リスクを一時的に相殺。決算前など“売りたくないが守りたい”時に。

着目:現渡しで決済すれば現物を手放さず完了。一般信用なら逆日歩なしで安心。優待・長期保有株の保険に有効。

優待・配当クロス

Yutai Cross
テクニック

内容:現物買い+同数の一般信用売りで価格変動を完全に消し、株主優待や配当の権利だけを取りにいく。

着目:費用(貸株料・手数料)<優待価値、が成立する時だけ。人気銘柄は一般信用の売り在庫が早く枯れる。

日計り(回転売買)

Day Trading
テクニック

内容:同一資金で1日に何度も売買できる(差金決済の規制を受けない)。現物より資金効率よく回転させられる。

着目:回数が増えるほどコストと判断ミスが効く。デイの規律(損切り・デイリーストップ)を現物以上に徹底する。

SIGNALS

何に気がつくのか

信用特有の着眼点(信用残・逆日歩・規制・評価損益率)

信用残高と信用倍率

Margin Balance

何を:信用買い残・売り残と、その比率(信用倍率)。将来の反対売買(買い残=将来の売り、売り残=将来の買い戻し)を示す需給。

なぜ効く:買い残が多い銘柄は上値が重く(しこり)、売り残が多いと踏み上げ(買い戻し)の燃料になる。“取り組み”を読む基本。

逆日歩(品貸料)

Negative Rate

何を:制度信用で空売りが多く株が不足すると発生する追加コスト。空売り側が支払い、買い方が受け取る。

なぜ効く:空売りの隠れコストで、権利日をまたぐと跳ねることがある。逆日歩発生=踏み上げのサインにもなる、要警戒シグナル。

規制(増担保・日々公表)

Restrictions

何を:過熱した銘柄は取引所が日々公表→増担保(保証金率引き上げ)→売買停止と規制を強める。空売り禁止措置もある。

なぜ効く:規制は需給を急変させる。増担保で買い建てが減り上昇が鈍る/急落することも。建てる前に規制段階を必ず確認。

信用評価損益率

Margin P/L Ratio

何を:個人の信用買いの含み損益の平均。大きくマイナス(例-15〜-20%)は投げ売り間近=底、プラス圏は過熱の目安。

なぜ効く:群衆の追証・投げのタイミングを読む逆張りの参考。市場全体のセンチメントの過熱・冷却を測る指標になる。

保有コスト(金利・貸株料)

Carry Cost

何を:信用買いの金利、空売りの貸株料、配当落調整金。保有日数ぶん積み上がる。

なぜ効く:短期で決着しないとコストが利益を削る。“いつまでに決済するか”を、コストとの見合いで決める材料になる。

ボラとレバの相性

Volatility × Leverage

何を:値動きの大きい銘柄を高レバで持つと、わずかな逆行で追証に届く。ボラとレバは掛け算でリスクになる。

なぜ効く:高ボラ×高レバ=追証直行。ボラの大きい銘柄ほどレバを下げ、損切り幅を広く取ってサイズを絞る判断が要る。

EDGE / RISK

固有の優位性と、はまりやすい罠

売りから入れる・資金効率・ヘッジ ↔ 追証・踏み上げ・コスト・規制
▲ EDGE売りから入れる

下落・割高からも利益を狙える

現物は“上がる株を当てる”一方向だが、空売りを加えると下落・割高の修正からも稼げる。相場が崩れる局面でも攻め手があり、機会が2倍に広がる。割高銘柄の是正という“歪み取り”ができる。

▲ EDGE資金効率

レバレッジで少額から大きく張れる

委託保証金で最大約3.3倍の建玉が可能。少ない自己資金で同じエクスポージャーを取れ、残りの資金を他銘柄に分散できる。日計りなら同一資金を1日に何度も回転させられる。

▲ EDGEヘッジ

現物を売らずに守れる(つなぎ売り)

保有現物と同数を空売りすれば、下落リスクを一時的に相殺できる。優待・配当・長期保有の権利を保ちながら決算や急落イベントをやり過ごし、現渡しで現物を手放さず決済できる。

▲ EDGE機動性

差金決済で同一資金を回転できる

現物の差金決済規制を受けず、同じ資金で1日に何度も売買できる。デイトレの回転効率が上がり、短期の優位性を資金量の制約なく繰り返し取りにいける。

▼ RISK追証・レバ

損失も増幅、自己資金超の損失も

レバレッジは利益も損失も同じ倍率で膨らませる。含み損で維持率を割れば追証、対応できなければ強制決済。急落では自己資金を超える損失(借金)になることもある。レバの取り過ぎが退場の最大要因。

▼ RISK踏み上げ

空売りの損失は“青天井”

買いの損失は最大でも投資額(株価ゼロ)だが、空売りは株価が上がるほど損失が膨らみ理論上は無限。好材料・買い戻しが連鎖する“踏み上げ”で急騰すると致命傷になる。損切りを置かない空売りは厳禁。

▼ RISKコスト

金利・貸株料・逆日歩・配当調整

信用買いは金利、空売りは貸株料を日々払う。制度信用の空売りは株不足で逆日歩が青天井に発生しうる。配当権利日をまたげば配当落調整金の支払い。“持つだけで減る”コストを織り込む。

▼ RISK期限・規制

返済期限と、急な規制・売り禁止

制度信用は6ヶ月の返済期限があり、塩漬けで“待つ”ができない。さらに過熱銘柄は増担保や売買停止、空売り禁止などの規制が突然入り、需給が一変する。建てる前に銘柄の規制状況を必ず確認する。

02Strategies

王道の信用戦略 ── レバ買い・空売り・ヘッジ・クロス

目的(上昇を増幅/下落を取る/守る/権利取り)に応じて型を選びます。各戦略の地合いと、エントリー・損切り・利確の価格レベルを図で確認し、損益分岐・RR・いつ使うかまで分解します。

用途で絞る:

レバレッジ・トレンドフォロー

Leveraged Trend
信用買いデイ〜スイング

強い上昇トレンドの主導株を信用買いで取り、現物より大きな資金効率でトレンドの波に乗る。

利確エントリー損切り(追証の手前)価格時間 →
エントリー
上位足が上昇トレンドで、移動平均上の押し目反発 or 出来高を伴う高値更新。実効レバは2倍以下に抑える。
損切り
直近の押し安値・移動平均の下。追証ラインの“手前”に必ず置く。
利確(目標)
次の節目・トレンド継続。一部利確しトレールで伸ばす。
RR / 性質
1 : 2〜4

いつ使う:地合いが強く、明確な上昇トレンドの主導株がある時。

なぜ現物で機能する順張りを、資金効率を上げて取りにいく。ただしレバぶん損失も増えるため、損切りと低レバが前提。

押し目の信用買い

Pullback Long
信用買いスイング

上昇トレンド中の押し目を信用買いで拾い、損切りの近さを活かして損小利大を作る。

利確エントリー(押し目)損切り価格時間 →
エントリー
移動平均・前回高値(支持転換)での反発確定で。コストを考え短期で決着させる。
損切り
支持帯を明確に割った直下。
利確(目標)
直近高値の更新〜トレンド継続。
RR / 性質
1 : 2〜3

いつ使う:明確な上昇トレンドで、有利な価格から低レバで乗りたい時。

なぜ押し目は損切りが近く、レバを掛けても1トレードのリスク額を小さく保てる。信用の効率を“安全に”使う王道。

戻り売りの空売り

Rally Short
空売りデイ〜スイング

下降トレンド中の戻りを空売りし、下落の継続を取る。空売りの最も再現性の高い順張りの型。

損切り(踏み上げ回避)エントリー(戻り)利確価格時間 →
エントリー
戻りが移動平均・前回安値(抵抗転換)で頭打ち→反落確定で。貸借区分・逆日歩・配当権利日を事前確認。
損切り
抵抗を明確に上抜けた直上(踏み上げ回避)。損切りは例外なく置く。
利確(目標)
直近安値の更新〜下降トレンド継続。下落は速いので機動的に。
RR / 性質
1 : 2〜3

いつ使う:地合いが弱く、悪材料や割高修正で明確な下降トレンドが出ている時。

なぜ下落トレンドでは戻り売りが順張り。現物では取れない局面を取れる。ただし損失は青天井なので損切り厳守が命。

急騰・割高の空売り(逆張り)

Overextended Short
空売りデイ〜数日

材料で急騰し行き過ぎた銘柄の、過熱の反落を取る。決まれば大きいが難度が高い上級者向け。

損切り(高値のすぐ上)エントリー(反落確定)利確(平均回帰)価格時間 →
エントリー
出来高クライマックス+上ヒゲ+勢いの失速など、明確な反落サインの確定後。飛び乗らない。
損切り
直近高値のすぐ上。踏み上げで一気に飛ぶため、ストップは絶対かつ小さく。
利確(目標)
急騰前の水準・移動平均への回帰。
RR / 性質
1 : 1.5〜3

いつ使う:材料一巡で過熱がピークアウトし、明確な反落の初動が出た時のみ。

なぜ群衆が買い上げ過ぎた歪みを取る。だが上昇中の逆張りはナイフ掴み=踏み上げの餌食。サイズを絞り損切り最優先。

つなぎ売り(保有現物のヘッジ)

Hedge Short
ヘッジイベント前後〜数週間

保有現物と同数を空売りし、下落リスクを一時的に相殺。決済は現渡しで、現物を手放さず完了する。

現物の下落を相殺同数を一般信用で空売り現渡しで決済価格時間 →
エントリー
決算・急落イベント前などに、保有現物と同数を一般信用で空売り(逆日歩を避ける)。
損切り
ヘッジなので方向の損切りは不要。上昇したら現物の含み益が相殺する、と理解しておく。
利確(目標)
下落ぶんを空売り益で相殺。優待・配当・長期保有の権利は維持。
RR / 性質
下落リスクをほぼ中立化(上昇益は放棄)

いつ使う:売りたくない保有株の、決算またぎや一時的な急落リスクを避けたい時。

なぜ現物を売ると優待・取得単価・税のリセットを失う。つなぎ売り+現渡しなら、現物を保ったまま下落だけ無力化できる。

優待・配当クロス(価格中立)

Yutai Cross
中立権利日前後(数日)

現物買い+同数の一般信用売りで価格変動を完全に消し、株主優待・配当の権利だけをローリスクで取る。

価格変動を相殺現物買い+一般信用売り権利取得後に決済価格時間 →
エントリー
権利付き最終日までに、現物買いと一般信用売りを同数・同時に。費用<優待価値を確認。
損切り
価格は中立化されるため値動きの損切りは不要。費用(貸株料・手数料)が唯一のコスト。
利確(目標)
株主優待・配当の権利取得(価格損益はほぼゼロ)。
RR / 性質
ほぼ価格中立(コストのみ負担)

いつ使う:費用が優待価値を下回り、一般信用の売り在庫が確保できる時。

なぜロングとショートを同数持てば価格変動が打ち消し合う。残るのは権利とコストだけ。需給(在庫)とコスト計算が勝負。

価格レベル図はイメージです。どの戦略でもエントリーと同時に損切りを置き、損切り幅×株数を自己資金リスク(1〜2%)に収め、実効レバを抑えるのが大前提です。とくに空売りは損失が青天井のため、損切りは例外なく必須です。

03From Catalyst To Trade

材料から読む ── 決算・規制・需給を戦略に変える

信用取引を動かす材料(決算・増担保規制・逆日歩・相場急落・権利日)は、『方向・需給(信用残)・コスト(逆日歩)』のどれにどう効くかで、選ぶべき型が決まります。まず材料の“型”を一覧で押さえ、代表的な3つを具体例で深掘りします。

CATALYST MAP

材料 → 需給・方向・戦略の早見表

その材料が方向・需給・コストのどこに効くか
材料需給・コストへの影響方向の出方候補戦略典型的な罠
決算・ガイダンス
Earnings
サプライズで急変、信用残の偏りが増幅好決算は買い・失望は空売りの材料通過後の方向に順張り/保有株はつなぎ売りでヘッジまたいで逆行=追証。買い残の多い銘柄は失望で投げ売り連鎖
増担保・規制強化
Restrictions
保証金率引き上げで買い建てが減退過熱の沈静化、上昇が鈍る/急落も規制段階を確認し新規を控える/過熱の反落を慎重に規制を見ずに高値で信用買い→増担保で需給急変・含み損
逆日歩の発生
Negative Rate
空売りコストが急増(青天井もありうる)売り長=踏み上げの燃料がたまっている制度の空売りは権利日前に手仕舞い/一般信用に切替逆日歩を軽視して権利日をまたぎ、コストと踏み上げで二重損
全体相場の急落
Market Crash
信用買いの追証連鎖で投げ売りが加速レバ勢の強制決済でさらに下げる(下落の自己増幅)事前につなぎ売り/空売りで順張り/レバを落とす高レバの信用買いが追証で強制決済=底値で投げさせられる
優待・配当の権利日
Ex-Dividend
クロス需要で一般信用の売り在庫が枯渇権利落ちで理論上は配当・優待分だけ下落早めに一般信用クロスを組成/費用<優待価値を確認在庫切れ・制度信用での逆日歩、配当落調整金の見落とし
公募増資・分売
Equity Offering
供給増で需給悪化(短期の下押し)希薄化・需給悪化で空売りの材料になりやすい発表後の下押しを空売り/受渡日前後の動きを読む“悪材料=必ず下げる”と決め打ち、織り込み済みで踏み上げ
PLAYS

代表シナリオを深掘り(3本)

状況 → 方向/需給(信用残)/コスト・時間の読み → 戦略選択 → 管理
上昇トレンドをレバで取るLeveraged Long主導株A(架空)

状況:地合いが強く、好業績で主導株が明確な上昇トレンド。移動平均上で押し目を作りながら高値を更新している。

方向の読み

強気(信用買いでトレンドを増幅)

需給・コストの読み

信用買い残は過大でなく、しこり(上値の重し)は限定的

時間・期限の読み

数日〜数週間。コストを考え短期で回す

候補戦略と選ぶ理由
  • 押し目の信用買い(低レバ)順張りの押し目買いを、実効レバ2倍以下で。損切りが近く、レバを掛けても1トレードのリスク額を小さく保てる。
  • フルレバで一括(非推奨)最大3.3倍の建玉は、数%の逆行で追証に届く。少しの揺れで強制決済され、優位性が出る前に退場する。
選択と執行

実効レバを抑えて押し目を信用買い。損切りは追証ラインの手前。金利コストを考え、伸びなければ短期で手仕舞う。

管理・出口

建値ストップ→トレールで利を伸ばす。地合い悪化や追証ライン接近の兆しが出たら即縮小。

教訓

信用買いの肝は“レバを抑えて損切りを近くする”。効率は上げても、1トレードのリスク額は現物と同じ規律で固定する。

割高・悪材料の空売りShort the Weak割高株B(架空)

状況:急騰で割高になっていた銘柄が、下方修正をきっかけに下降トレンド入り。戻りを売られながらじり安が続いている。

方向の読み

弱気(戻り売りの空売り)

需給・コストの読み

信用売り残・逆日歩を要確認。売り長なら踏み上げに警戒

時間・期限の読み

数日〜。下落は速いが反発も急、機動的に

候補戦略と選ぶ理由
  • 戻り売りの空売り(一般信用も検討)抵抗転換での反落を空売り。逆日歩を避けたいなら一般信用。損切りを抵抗の上に必ず置く。
  • ナンピン空売り(非推奨)上昇中の売り増しは踏み上げで損失青天井。空売りは“逆行=即損切り”が現物以上に絶対。
選択と執行

戻りが移動平均で頭打ちになった所を空売り。損切りは抵抗の上。配当権利日・逆日歩・規制(売り禁止)を事前に確認。

管理・出口

下落で分割買い戻し+建値ストップ。権利日が近ければ調整金回避で手仕舞い。返済期限(制度6ヶ月)も意識。

教訓

空売りは“現物では取れない下落”を取れる武器だが、損失は青天井。損切り・コスト・踏み上げの管理が命綱。

暴落前のヘッジ(つなぎ売り)Hedge with Short保有株C(架空)

状況:長期保有・優待目的の現物を持つ中で、決算と全体相場の不透明感が重なり、短期の下落リスクが高まっている。売りたくはない。

方向の読み

短期は弱気だが、現物は手放したくない

需給・コストの読み

一般信用の在庫があるか、逆日歩のない手段かを確認

時間・期限の読み

イベント通過までの短期

候補戦略と選ぶ理由
  • 同数のつなぎ売り→現渡し保有現物と同数を一般信用で空売りし下落を相殺。通過後に現渡しで決済すれば、現物を手放さず守れる。
  • 現物を一旦全部売る(非推奨)優待・取得単価・含み益の税繰延べを失う。狼狽売りは反発時に乗れず往復で損しやすい。
選択と執行

保有現物と同数を一般信用で空売り。イベント通過・下落一服を確認したら現渡し(or 買い戻し)でヘッジを外す。

管理・出口

上昇に転じたら、空売りの含み損は現物の含み益で相殺される。外すタイミングを事前に決めておく。

教訓

つなぎ売りは“現物を保ったまま下落だけ無力化”する守りの技。優待・長期保有と短期リスク回避を両立できる。

注記上記はすべて教育目的の“架空”シナリオです。実際の保証金率・逆日歩・規制・在庫は証券会社や地合いで変わり、増担保や売買規制で需給が一変することもあります。重要なのは『方向・需給(信用残)・コスト(金利/貸株料/逆日歩)・時間(返済期限)に分解し、自己資金リスクと追証余力を確かめてから、損切りを置いて入る』こと。特に空売りは損失が青天井である前提を絶対に忘れないことです。

04Anatomy Of A Trade

実例で追う(信用取引)── 下降トレンドの“空売り”を数字で

基礎・戦略・運用を1本に統合します。割高が崩れた銘柄の戻り売り(空売り)を、自己資金100万円・リスク2%から株数を逆算し、株価・コスト(貸株料/逆日歩)・損益までエントリーから手仕舞いまで数字で追います。

銘柄
割高株(架空の数値・空売り)
セットアップ
下降トレンドの戻り売り(空売り)

下方修正で割高が崩れ下降トレンド入りした銘柄を、戻りで空売りする1本。自己資金100万円からリスク2%(2万円)で枚数を逆算し、エントリーから決済まで 株価・株数・コスト(貸株料/逆日歩/配当落調整金)・損益を数字で追う。空売り固有の『損失は青天井、損切りとコスト管理が命』を体感する。

  1. Day 0 / 環境認識気づき

    悪材料で下降トレンド入りを確認

    何に気づいた

    急騰で割高だった株3000円が、下方修正をきっかけに移動平均を割り下降トレンド入り。信用売り残は過大でなく踏み上げリスクは限定的、貸借銘柄。

    なぜそう考えた

    現物では取れない“下落”を空売りで取る局面。ただし損失は青天井なので、損切りとコストを先に固める。

    何をした

    戻りを売る方針。逆日歩・貸株料・直近の配当権利日の有無、規制(売り禁止)の有無を事前にチェック。

  2. Day 0 / サイジング判断

    自己資金リスクから株数を逆算

    何に気づいた

    エントリー想定3000円、損切り3100円(+100円逆行=空売りは上昇が損、約+3.3%)。

    なぜそう考えた

    空売りは“逆行=即損切り”が絶対。自己資金100万円のリスク2%=2万円を上限に株数を決める。

    何をした

    2万円 ÷ 100円 = 200株。建玉=3000×200=60万円(実効レバ0.6倍と保守的)。制度の逆日歩を避け一般信用を選択(貸株料はやや高め)。

  3. Day 1 / 執行実行

    戻りの頭打ちを空売り、損切りを即セット

    何に気づいた

    戻りが移動平均(3000付近)で頭打ち、上ヒゲ+陰線で反落確定。

    なぜそう考えた

    計画どおりの反落サイン。空売りで最も大事なのは“損切りを置くこと”。例外は作らない。

    何をした

    3000円で200株を空売り。逆指値(買い戻し)を3100円にセット(最大損失≒2万円)。利確目標は-10%(2700円、RR1:3)。

  4. Day 2–4 / 管理管理

    下落進行、建値へ引き下げ半分利確

    何に気づいた

    2850円まで下落(-150円)。戻りは弱く下降トレンド継続。貸株料が日々発生。

    なぜそう考えた

    まず“負けないポジション”に。空売りは反発が急なので、利は機動的に確保しつつ伸ばす。

    何をした

    逆指値(買い戻し)を建値3000円へ移動。100株を2850円で買い戻し利確。配当権利日が近くないことを再確認(調整金回避)。

  5. Day 5 / 決済決済

    目標到達で残りを買い戻し

    何に気づいた

    2700円の節目に到達し、下げ渋りの兆し。

    なぜそう考えた

    目標-10%に到達。空売りは“伸ばし過ぎると反発で取られる”。欲張らず確定する。

    何をした

    残り100株を2700円で買い戻し。損益=(+150×100)+(+300×100)=+4.5万円 − 貸株料 ≒ +4.4万円(≒+2.2R)。返済期限内に完了。

  6. Day 5 / 振り返り振り返り

    ジャーナルに記録

    何に気づいた

    損切りを置き、コスト(貸株料)を抑え、踏み上げ・逆日歩・配当日を回避できた。レバも低く保てた。

    なぜそう考えた

    結果(勝ち)でなくプロセスを採点。空売りは損失青天井ゆえ“損切り厳守”が最重要。改善は『一般信用の在庫・貸株料の事前比較』。

    何をした

    銘柄・制度/一般・株数・コスト・損益(R)・踏み上げ有無を記録。『下降トレンドの戻り売り』を勝ちパターンとして分類。

05Manage & Risk

運用 ── 出口と追証管理で“使える”に変える

エントリーは始まりにすぎません。信用取引はレバレッジ・追証・返済期限・空売りの青天井リスクがあるぶん、『いつ降りるか』と『どれだけ張るか』が損益を決めます。損切り・トレール・返済のルールと、自己資金リスクから枚数を決める固有のサイジングを固めます。

MANAGE

トレード管理 ── いつ・どう手仕舞うか

損切り必須 / トレール / 分割利確 / 追証 / 返済 / コスト

損切りを必ず置く(空売りは絶対)

Hard Stop

やること:エントリーと同時に逆指値を入れる。特に空売りは損失が青天井のため、損切りなしのポジションは作らない。

なぜ:信用は塩漬けが追証・強制決済に直結し、空売りは踏み上げで致命傷になる。損切りは事前の約束の自動執行にする。

トレーリングストップ

Trailing Stop

やること:含み益が伸びたら逆指値を利益方向へ追従(買いは安値の下、空売りは戻り高値の上)。

なぜ:トレンドの波を伸ばしつつ利益を守る。空売りは反発が急なので、トレールで取りこぼしを防ぐ。

分割利確

Scale Out

やること:目標手前で一部を反対売買し、残りをトレールで伸ばす。

なぜ:空売りは“伸ばし過ぎると反発で取られる”。確実な利益を確保しつつ、下落継続の上澄みも取りにいける。

追証ラインの管理

Margin Watch

やること:保証金維持率を日々確認し、追証ラインから距離を取る。接近したら建玉を減らすか保証金を足す。

なぜ:維持率割れの強制決済は“最悪のタイミングで底値を売らされる”。余力を持たせることが生き残りの条件。

返済(反対売買・現引き/現渡し)

Settlement

やること:反対売買で差金決済が基本。つなぎ売りは現渡しで現物を手放さず決済、強気継続なら信用買いを現引きする選択も。

なぜ:制度信用は6ヶ月の期限がある。出口(差金/現引き/現渡し)を先に決め、期限とコストに追われない運用にする。

コスト・権利日・規制の管理

Cost / Events

やること:金利・貸株料の累積、配当権利日(配当落調整金)、逆日歩、増担保・売り禁止などの規制を継続的に点検する。

なぜ:コストと規制は利益を静かに削り、需給を急変させる。特に空売りで権利日・逆日歩・規制を見落とすと損失が膨らむ。

RISK / SIZING

リスク管理とサイジング

自己資金リスクで枚数を決め、実効レバと追証余力を抑える

自己資金リスクで枚数を決める

Size by Risk

やること:1トレードの損失(損切り幅 × 株数)が、自己資金の1〜2%に収まる株数だけ建てる。レバありでもこの上限は変えない。

なぜ:信用の生死は枚数で決まる。レバが効くぶん“なんとなくの枚数”は一撃退場。最大損失を先に固定するのが核心。

実効レバレッジを抑える

Effective Leverage

やること:建玉総額÷自己資金で実効レバを把握し、低め(目安2倍以下)に保つ。最大3.3倍を常用しない。

なぜ:上限いっぱいのレバは数%の逆行で追証・退場。実効レバを抑えることが、連敗しても生き残る最大の防御。

追証余力を残す

Margin Buffer

やること:保証金ギリギリで建てない。値洗いの逆行に耐える余裕資金を残し、強制決済ラインから距離を取る。

なぜ:維持率が薄いと一時的な逆行(ノイズ)で強制決済。耐えるべき揺れで退場しない設計にする。

空売り固有リスクの管理

Short Risks

やること:損失青天井(踏み上げ)を前提に損切り必須。逆日歩・配当落調整金・売り禁止規制・信用売り残(踏み上げの燃料)を事前確認する。

なぜ:空売りは買いと非対称(損失無限)。固有のコストと踏み上げを軽視すると、1回で何度分もの利益を失う。

制度/一般と返済期限の管理

Term / Type

やること:逆日歩を避けるなら一般信用、長く持つなら無期限の一般信用も。制度信用の6ヶ月期限を建てる前に意識する。

なぜ:期限切れの強制反対売買や逆日歩は、意図しない損失になる。手段の選択そのものがリスク管理の一部。

規制・銘柄選別

Restrictions

やること:増担保・日々公表・売買停止・空売り禁止などの規制段階と、貸借銘柄か(空売り可否)・流動性を事前に確認する。

なぜ:規制は需給を一変させる。建ててから規制が入ると逃げ場を失う。“張れる銘柄か”の確認は執行前の必須項目。

PRE-TRADE +

信用取引の執行前“上乗せ”チェック

共通の執行前チェックに加えて確認する固有項目
  • 現物と同じ分析で方向(上/下)の根拠を固めたか
  • 信用買い・空売り・つなぎ売りのどれか、目的を1つに絞ったか
  • 制度/一般を選び、金利・貸株料・逆日歩・配当落調整金を確認したか
  • 規制(増担保・売り禁止)・貸借区分・信用残(取り組み)を確認したか
  • 損切り幅 × 株数 が、自己資金リスク(1〜2%)に収まっているか
  • 実効レバレッジ(建玉÷自己資金)は低め(目安2倍以下)で、追証余力は十分か
  • 空売りなら損切りを必ず置き、踏み上げ・配当権利日を回避したか
  • 返済期限(制度6ヶ月)と出口(反対売買/現引き/現渡し)を決めたか
06Pre-Trade Checklist

執行前チェックリスト ── 引き金を引く前に

毎トレード、引き金を引く前に回す確認です。クリックでチェックし、全項目が埋まって初めて“執行可能”。1つでも欠ければ、その回は見送ります。(チェック状態はこのブラウザに保存されます)

⚠ 残り 13 項目 ── まだ引き金を引かない
0 / 13

① 環境(地合い)

② セットアップ

③ リスク

④ 自分(心理)